If you have a garden and a library, you have everything you need.(庭と蔵書/図書館があれば必要なものは全部そろっている),キケロの名言だ。
うちには広い庭も,広い書斎もない。花や木が少しだけ植わっていて,一日中小鳥のさえずりが聞こえる小さな庭だ。毎日害虫や枯れた花を摘み取ることのできる小さな庭。目が行き届くから隣人らの庭の手入れまでできる。
毎年咲くアイリスやブラックアイドスーザン,水仙,ヒヤシンス,ムスカリ,そして7種類のユリ。毎年頂き物の球根を少しずつ足していく。
鉢植えにする失敗だらけの一年草の種まきも楽しい。今年はネギ・百日草(ジニア)・パセリの種を買ったが,予想をはるかに超えて生長している。ジニアなんか60本になった。
気温が下がった夕方の草取りは,ここが平和であることを実感させる。
林に囲まれバスケットボールができる広い裏庭は,私の必要なものでも欲しいものではない。大型の機械で手入れをする庭は,私には要らない。
書斎の窓辺にはパソコンを置いた机があり,ここから裏庭のバードフィーダーが見える。今日も,丸まる太ったブルージェイが低空飛行をし,真っ赤なカーディナルやフィンチが餌をついばんでいる。シマリスがそのおこぼれにあずかる。
日本から持って来た本も多く,同じ本を繰り返し読めば新たな発見もある。まだ読んでいない本がある本棚は宝だ。日本の友人が本を送ってくれていて,今楽しみに待っている。
隣人の庭には1mくらいのミルクウィード(トウワタ)が群生し,甘い芳香を放っている。アリやモナーク(オオカバマダラ),ミツバチが大忙しだ。

よく生活の一部を指して「小さな幸せ」と表現されるが,幸せに大小があるのだろうか。戦争をしている国の人にとっては,日々の平安こそが幸せだ。お金をたくさん使える=大きな幸せだと考える人もいるのかもしれない。どんどん稼いでどんどん借りて使え,とクレジットカード会社は言うだろう。
一昨日,別の隣人(ポーランド人)の裏庭を見せてもらった。うちより小さなテラスにはいろんな花やハーブの寄せ植えがいっぱい!!ガラスのテーブルや木製の小鳥の巣箱,そしてグリム童話に出てきそうな樹木。大きなBBQグリルがドン!とか豪華なテーブルや椅子がドン!ではなくて,妖精でも住んでいそうなかわいらしいテラスだった。何年もかけて愛情を持って育ててきたテラスだというのがわかる。いつでもここに来て座っていいよと言って下さり,お礼にフルーツを切って持って行った。
派手なものは要らないし,自慢することにも喜びはない。幸せはそんなに遠くないところにあると思っている。