先週末にテレビで「女系家族」のドラマの後半を見ていた。物語も終盤に入り,遺産相続の話がクライマックスを迎えた頃。

 

奥田瑛二さんが,戸籍を読み上げる場面で「ゾクガラ 長男」と!...「続柄(ツヅキガラ)」のことだ。

 

まさか。大番頭さんという役柄として,わざとこのようなミスをしたのだ,きっと長女役の寺島しのぶさんが「あんた,何言うてんの!」と訂正するはず。しかし,こんなシリアスな場面で?

 

同じ部屋には,宮沢りえさん,渡辺えりさんという豪華な女優がずらり。山崎豊子さんの有名な小説(1963年に出版)で何度かドラマ化もされていて,多くのスタッフも関わっていて…こんな初歩的なミスがあり得るはずがない。録画しながら観ていたので巻き戻したが,やはりゾクガラ。何とまぁ。誰も指摘しなかったのか。

 

昔のドラマの中でも「ゾクガラ」と読まれていたのだろうか。山崎さんがご存命であったら,恐らく訂正されたんじゃないかと思う。

 

昔,日本の金融機関でも「お父さんとのゾクガラは...」と言われたことがある。思わず「えっ」と口から出てしまったが,横から父が私を制して...。毎日のように仕事で使うであろう言葉なのに,どういうことなんだろう。

 

一歩譲って考えた。「ゾクガラ」と読む人が多いので,令和版のドラマ(設定は平成後半)はあえてこういう読み方にしたのか...?ネットで検索してみたら,何と9割近くの人が「ゾクガラ」と読んでいるとあって,またビックリ。10年もしないうちに,ゾクガラが完全に取って代わるんじゃないかと思う。

 

ゾクガラって,何かの柄模様のようでもあるし,暴走「族」のようでもあるし,茶「殻」のようでもあるし…どう考えても「ツヅキガラ」の方がいいと思いませんか。

 

ちなみに,「女系」も「にょけい」とタイプしても変換されないので,「じょけい」で打っている。

 

もう一つ。日本語のフリーペーパーに「喧々諤々"ケンケンガクガク"」というコーナーがある。月一回の発行で今月は231回目の掲載なので,19年以上も渡ってこのタイトルだと思われる。喧々囂々(ケンケンゴウゴウ)と侃々諤々(カンカンガクガク)が合わさってできたもので,今でも間違いだと信じるけれど。何とスマホ(日本語をインストールした)でタイプすると,いずれも漢字では出てこなかった。一方,喧々諤々は一発で変換。喧々諤々が取って代わったのだ。しかし,19年前は明らかに間違いだったのではないか。

 

言葉は変わるけれど…外国在住の日本人向けの印刷物なら,多少古くても正しい日本語であって欲しいなぁ。