インチキ,ではなくインチです。
アメリカの長さの単位は,インチ・フィート・ヤード・マイル。36インチが1フット(←フィート)で,3フィートが1ヤード。1,760ヤードが1マイル。これを覚えるだけでも大変なのに,さらにcmやkmに換算するとなると,もう...。
ペーパークラフトにおいては,インチ(36インチまで)単位しか使わないから,簡単だろうと思うのは大間違い。1インチ(=2.54cm)未満の長さは通常分数で表されており,1/4,1/8, 1/16...と4分割ごとだ。折線を入れるスコアボードの最小単位は1/8"で,カード作りの寸法においても然り。
定規の目盛りは1/16"刻みになっており,一部1/32"や1/64"の表示がある。2.54cmの64分割!計算してみたら0.0396875cmらしい。差もわからぬほどの微々たる長さで,実生活で使うことはまずない。
手持ちの円のダイには5/8"(=直径5/8インチ)等と書かれているが,まれに小数表示もある。3.75"なら3 3/4"だとすぐにわかるが,3.30"になればお手上げ。勘で作る。3.30"+2 3/8"の暗算なんて不可能。
この分数表示も曲者で,three and one quaterが,3 1/4(3と1の間の微妙なスペース)なのか3と1/4の別物なのか数字で見ても聞いても明確ではなかろう。
紙の大きさ(12インチ四方・レターサイズ),カッターやダイ等の道具もすべてインチ基準なので,ペーパークラフトにおいてはインチで作る。逆にcmでは作るのは難しい。紙の無駄も出るし,封筒のサイズにも合わない。
手芸道具だが,cm表示はついていても基本的にインチ製品であり,手芸の本でもやはり作り方もインチ。こんなややこしい計算をアメリカ人はやっているのか,生まれた頃からそうなので慣れているのか...。
先日,手芸店で話しかけて来た手芸が趣味というおばあさんに聞いてみた。そしたら,「もちろんインチで作るわよ。え,cm?難しいからできない!あなた,一体どちらの出身なの?」と。10進法のどこがどう難しいのだ...!? 3 1/4+5 1/2は分数だけでなく小数の3.25+5.5でも簡単だが,3 7/8+5 3/4とかパッと暗算できるとは思えない。クラフトのクラスでもアメリカ人は皆(教えている講師も含め)混乱していたから....。第一,分数(1/3他)は不正確だ。
インチでソーイングをする日は来ないと思う。