日本の職場等では,同僚とその家族の入院見舞いや出産祝いのように,急に数千円の現金が必要になることがあった。アメリカの夫の職場ではそういうことが一切なく,夫の財布の中身は1ドル札1枚(約110円)ということがしばしばで...。ちなみに,クレジットカードも持ち歩かなければ,スマホで支払うこともなく,仕事に行く時はホントにお金を持ち歩かなかった。


15年以上前に,日本食レストランで開かれた親睦会に参加したことがある。食事代はアルコールやデザートもなしで何と一人75ドル(約8,000円)。味噌汁は2人で一つというセコい注文だったにも関わらず。参加者の一人は現金が足りず,他の人に借りるという終わり方で...後味の悪さを感じた。


付き合い上の食事会で,75ドルの現金を持って来たかどうかではなく,常識的に考えて高いのだ。他の人達(フルタイムで働いている人は一人もいない)は全く動じる様子は見せることもなく余裕の振る舞いであったが,本心はどうだったのだろう。私はうちに帰ってから夫に,「現金が足りて良かった。まさかあんなに高いとは...使い過ぎてゴメン!」と伝えた。幹事役の人は事前に伝えるとか何らかの配慮をすべきだったと思う。


同じ頃,日本人のお医者さんと2人で食事をする機会があった。彼女が選んでくれた庶民的な日本食レストランでは,10ドル程でおいしい食事が頂けた。これが普通だよな,とほっとした。


75ドルの後で同じメンバーで食事会を開いたとすれば,値段を急に下げるのは難しい。次が20ドルならば,「あの時の料金は法外だった」ということを認めているようなものだから。


人に金銭の負担が生じる時やその人が行ったことがないレストランに案内する場合は,私は事前に大体の金額を伝える。オシャレ(高級)なところでないならご馳走するよと言っておくこともあるが,それは1人分の料金で2人分になるから。相手を不安にさせたくないし,公で恥もかかせたくもない。食事の値段が気になると,味も会話も楽しめない。


(食べ)終わった後なら高額を請求しても払うしかないから,という理由で事前に知らせない人もいる。こういう態度は何においても,不誠実だ。


参加者全員がグルメが趣味の仲間なら,いろんな心配は要らないかもしれない。それでも,2時間程度の親睦会で一食一人分・持ち帰りなし・味噌汁半分・アルコールなし・飲み物は日本茶・デザート(コーヒー・スイーツ・フルーツ)なしの8,000円は普通の金銭感覚ではない。


身の丈に合ったところが安心だ。見栄を張ると引き返せなくなる。