手作りカードの最大の魅力は,「大切な誰かのために,特別なデザインで贈ることができる」ことでしょう。流行りの道具や高価な材料を使い,万人受けのカワイイものを作ることでもないし,カード制作仲間で交換会をしてほめ合ったりたりすることでも,自分用の飾りだけのものでもない…と思います。
アメリカのクラフト流行には,絶対に乗らない方がいい。新しいというだけで道具や材料が高価で,それはすぐにすたれます。そもそも,アメリカで流行っているというか,流行らせようとしている物は,日本人(である自分)の好みではないことがほとんど。どうしてこんなダサいデザインが?とか,来年はなくなるなぁという商品が多い。私は2006年(ダイカットマシンを買ったのが2007年)にクラフトを始めてアメリカ人にも教えてきましたが,まだまだ基礎を勉強中ですから,流行作品なんて...。商品販売員や流行好きの生徒さんがいるクラス提供でない限り,無駄な買い物に終わります。
アメリカ人は,大昔からあるような古臭いデザイン(失礼!)を結構好みます。イースターのウサギのマシュマロも秋のカカシ飾りも,どぎつい色や形のハートも昔から同じ…多分これから何十年先でも。
それに,私がカードを贈るアメリカ人(日本人のほとんども)は誰もカードなんか作っていないので,今クラフト界で流行っている高価な道具や材料をアピールしたところで誰も知りません。
正統派デザインの商品が出尽くせば,変にデフォルメしたモノが出てくる。Tim Holtzのスタンプやダイなんかは,好みが大きく分かれるところでしょう。日本人にはあまり好まれないと思います。デフォルメした物は癖が強いので使いこなすのが難しく,飽きそうなデザインが多い。私は,デフォルメした物は買いません。家電やIT機器とは違って新しいモノがよいとは限らないので,流行を追う必要がないのです。
作品のオリジナル性は高く評価されますが,うまくできてのハナシ。いろんなメーカーの商品を混ぜて作ったオリジナル作品といっても,テイストも色もバラバラのごった煮カードに過ぎなかったり…肉ジャガに,ブロッコリーやカボチャは入れないでいい...!オリジナルデザインと言えば聞こえはいいけれど,特に厳しい目が必要です。一つのメーカーが考え抜いたダイやスタンプのセットで作る方が,お金も時間も失敗も最小限で済みます。
自分で作るなら,数多く見て本当に好きな製品を見つけることに尽きるでしょう。ダサいスタンプ(絵や文字)やダイ,カードデザインなんかもドッサリ,しかも堂々として(?)存在するので,うっかりダサさに飲み込まれないように。アメリカに住んでいると,ダサさに慣れて麻痺しているから。安いからとか人が使っている(勧められた)という理由で,何でも買ってはダメです。人が持っているモノは借りることもできるし,どういう感じか作品で一度見れば,購入の意欲が沸かないことがほとんどでは。
アメリカ在住なら,道具や材料が入手しやすい。カードを贈り合う文化もあるので,喜んで受け取ってもらえます。まぁ,頂き物をして文句を言う人は滅多にいないでしょうが…。ただ,同じ人に一方的に次々と贈るのは相手の負担になるので,贈る対象を増やすことです。
英語が苦手で人見知りでも,ここからアメリカ人とのコミュニケーションも広がり,今まで知らなかった世界が見えてきます。「アメリカ(人)のここが嫌だ」と嘆き日本人同士で愚痴を言うのではなく,相手を知れば理解ができ,距離も縮まってぐっと生きやすくなると思います。
面と向かった英会話は苦手でも,辞書を使って時間をかけて書けば間違いもなく,言いたいことも伝わります。自分が「大勢いる日本人の一人」ではなく,どんな人物かを知ってもらうことは大きな喜びで,アメリカ生活を豊かにするはずです。高価な商品を買える(夫の)経済力ではなく,自分の精神的な財産を築くことが真のストレス解消にもなると思います。
料理でも,最近は映え重視で視覚の華やかさがもてはやされています。味や栄養や満腹感ではなく,見た目。服でもバッグでも,縫製等の質は見えず,柄の派手さが決め手。カードも,贈った相手の反応はどうでもよく,華やかな(派手でゴチャついた)ものが好まれるのかもしれません。余計な飾りのついたうるさいモノは,返って貧乏臭く人をイライラさせますよね。料理は食べてこそ,洋服は着てこそ,カードは贈ってこそ,質の程度がわかる。
時間的な観点から,旅の楽しみには3つあるといいます。準備,旅行中,そしてお土産渡しや写真の整理などの旅行後。カードも,作る前(買い物等),制作中,そして贈るという3つの楽しみがある。市販のカードならば道具や材料の購入も制作もないわけですから,贈るということが最も重要。贈られることのないカードは,誰も食べない(食べられない)料理や誰も着ない(着られない)服を作るようなものでしょう。とにかく,贈ってこそ完結するのです。
これからもたくさん作って贈り,ブログでも紹介していきます。