数年前に,日本人を多く雇用しているアメリカ人と食事をする機会があった。日本人が全員帰った後,残ったアメリカ人2人が私に聞くのは「日本人はジョークを全然言わないが,どうして?」というもの。皆一様につまらない,というのである。
うーん...日本にはおもしろい日本人がたくさんいるから,人によるとしか言いようがないが,これでは答えにならない。
まず,アメリカでアメリカ人と一緒に働いていることから英語には問題はないだろう。
「仕事中は真面目にすべきだと思っている。同僚とは,職場を離れてもその延長線上にあるのでは」と答えた。勤務中や上司にジョークなんか言うと,仕事への真剣さや尊敬の念が足りないと非難されると思っているということ。
しかし,真面目さとジョークを言うことは,相反するものではない。
よく,「アメリカ人のジョークがおもしろくて笑った」とは聞くが,「アメリカ人を笑わせた」とは聞かない。私はYou're cute.(あなたってかわいいわね)と言われるよりも,You're funny.(おもしろいわね)の方が断然嬉しい。アメリカでは,おもしろいかどうかは,人間関係を築く上で非常に重要。外見ではなく内面の魅力だ。
ジョークに関しても,受け身の日本人が多いのではないかと思う。もらう(take)のではなく,与える(give)のが重要。
雇われている立場だという意識もあるだろう。上司に向かって冗談は言わず,上司のつまらない冗談に反射的に笑うのが日本。アメリカでは上下ではなく対等関係なので,上司をニックネームで呼び,冗談で笑わせる。
基本的に,冗談を言わない人には,冗談を言ったりしないものである。いつもしかめっ面をして不満を口にしている人には,冗談を言おうとすら思わない。リラックスしていて笑顔がある人にと,本能的に相手を選んでいる。
アメリカ人はジョーク好きだというが,もちろん全く通じない人も多い。日本語(母国語)で冗談を言わない人は,英語で急におもしろいことを言うわけはないだろう。逆に,日本語でおもしろいことを考えて笑わせるのが好きな人は,英語がつたなくてもおもしろいことを言うはず。
大げさに聞こえるかもしれないが,「冗談」でその人の性格がわかる。人を笑わせるというのは,サービス精神,エンターテインメントのコミュニケーション能力だ。自分自身を笑えるかどうか。身につけている物や容姿ではその中身はわからないが,すきの無い身なり(ブランドモノで固めた)の人には,少し様子を見るかも...。
嫌なことが多いこの世の中,できるだけ笑って毎日暮らしたい。仕事だって,楽しくおもしろい人と一緒にしたいに決まっている。
結局,人によるとしか言いようがない...!