日本では,クリスマスが終わったらお正月の準備で大忙しでしょう。年神様をお迎えするための大掃除もあります。


アメリカでは棒付きのモップでの掃除が普通なので,膝をついて布雑巾で床を拭いたりしない...と思います。長年住んでいて「思う」,というのは,膝をついて掃除しているアメリカ人を見たことがなく,そういう会話もしたことがないから。

 

日本でも,最近は畳も棒付きモップや粘着シート付きのクリーナーで拭いたりするのかもしれませんが,やはり畳は膝をついて拭くものか。私は,台所とリビング,バスルームの床は雑巾でかがんで膝をつきながら拭きます。小さなちりとりにゴミを集めながら,ゴシゴシ。その現場を初めて目にした夫にはかなり衝撃的だったようで,「な,何をしているのか!まるでシンデレラだ。かわいそうに…」と。


頻繁な靴の着脱もそうですが,正座もしないアメリカ人は,かがむことに慣れていません。一方,日本人は畳に布団を敷く時もご飯を食べる時も,立ったり座ったりの繰り返し。和式トイレというのもありますしね。這いつくばって掃除をするのは小学生から当たり前のことですし,とにかくかがんで何かやっている人に対してビックリしない。

 

棒雑巾ではゴミを端っこに追いやるだけで,台所の床(フローリング)のべたっとした汚れや継ぎ目に詰まったゴミは取れません。土足で生活しない室内は,目視しながら拭きたい。


棒付きモップをわざわざ買わなくてもいいし,収納スペースも要りませんしね。空気が乾燥しているので,濡れ雑巾はあっという間に乾きます。


アメリカの台所は,タイル敷きが多い。掃除のしやすさを考えてのことでしょうが,初めて見た時は驚いたものです。昭和時代は日本の家屋でタイルと言えば,トイレ(和式)とお風呂場だけでその印象が強いので,台所の床がタイルというのには抵抗が...。日本に昔あった土間のように,調理場は作業する所という印象です。うちはバスルームもタイル敷きではありません。


タイルの上は履物なしでは冷たそうですし,硬くて絶対に疲れそうですが,どうなのでしょう。

 

もう一つアメリカで驚いたのは,雑巾絞りができない大人の多いこと。日本では,学校でホウキや雑巾を使って毎日掃除をします。長方形の厚手の布を水で濡らしたら,自然と蛇腹状に畳んで前後にひねって絞る,汚れたらこすり合わせて洗って…とこのようにあらためて書くと,難しいことのように思えます。


カフェ等で店員さんの掃除の様子を見ていると,両手(もしくは片手)で丸めた布巾をぐちゃっと「握りしめて」水気を取っている…取ろうとしている。当然,拭いたテーブルはびちゃびちゃになり,運が良ければ乾いた布巾でテーブルを拭いてくれることもあります。そうでない場合は,待っていても乾きはしませんから,紙ナプキンで拭き取るという時間と資源の無駄遣いをしなければならない。


アメリカの学校には清掃員がいます。日本では,予算がないから雇えないだけだと考える人もいるでしょう。自分が使ったところは自分で掃除をすべきだという教育上の意義だけではないんですよね。1年生担任時には,ホウキの動かし方や雑巾絞りの仕方も教えていたことを思い出しました。技術はもちろん,要領や段取りなど生活のスキルも身につくのです。


アメリカの清掃道具は,食器洗いスポンジでさえも取っ手がついています。力も入らず,まどろっこしいったらない!柄付きの掃除用具ではなく,手で直に雑巾やタワシを握ってやる方がきれいになりますね。


この記事のタイトルは,「書くだけ...大掃除」。一応言っておくとしたら,アメリカの大掃除は冬が終わってから。日本的に言えば,年神様にはせめて玄関先までおいで頂きたいので,玄関の掃除はしたいと思います。