大型手芸店の布地売り場には,果物などの写真プリントの布がいろいろ販売されています。リンゴ・トマト・コーヒー豆・1ドル紙幣・小石・木目…。ウィルス蔓延の前は,写真プリントでエプロンでも作ってみようかなぁと思いながら眺めていた生地ですが,この一年はマスク。マスクにするなら,どの柄が楽しいか。おもしろいか。


これは,布紐の模様!

リアルに糸のほつれまでプリントされています。夫(恐らく他の人にも)には「足拭きマット…!」と不評ですが。

 

1ヤードでぴったり10枚のマスクが作れるので,これも10枚制作。

 

裏側(口に当てる方)も,同じ柄です。手抜きではない。裏表で柄を変えたりすると,「リバーシブルで使える!気分転換できて楽しい」とか「今日は花柄で,明日は裏返してチェック。洗わなくていい」等と,恐ろしいことを考える人がいるから。


ウィルスがついた面を口につけるなんて考えられませんが,表裏の区別がはっきりしていない使い捨てマスクでも,あまり考えずに着用している人は多いだろうな…。マスクが裏返しだと人は気づかないし指摘もしないので,プリーツマスクはそこを気をつけないと。  

 

マスクは,下着のパンツと同じです。裏返しにしてはかない。洗濯していないものをはかない。一回(一日)はいたら洗濯する。人と共有しない。言われてみれば当たり前なんですがね...。


一年に渡ったマスク作りはこれで終了。プリーツマスクは98枚縫いました(ポケットのフィルターも入れるとこの2倍)。初期のガーゼマスクも入れると,全部で120枚以上です。来月郵送する分を含めほとんど人に差し上げて,うちにある(自宅用・新品)のは20枚ほどになりました。


昨年,「11枚買いたい」というアメリカ人の友人がいて...「お金は頂かない。このパンデミック下において,私はマスクを作ることができる。社会に何か貢献すべきだと思っている」と拒否。しかし,自分が頼んだんだからどうしても支払うと言い張るので,じゃあ寄付団体に代金を贈ってと言い返したものの,向こうも譲らない。私の時間と労働への当然の対価だとねばる...現金を手に絶対に引き下がらないので,仕方なく1枚おまけしてその代金を頂きました。


この人がマスクを誰かに高値で転売するというのなら,迷いなく代金は頂いたでしょう。しかし,彼女はそういう人ではない。家族や友人にプレゼントするマスクなのです。


夫から「11枚は多いし,材料は購入している。1枚作るのに2時間かかっている。彼女には他で十分親切にしているから,代金はもらってよい」と言われ,気持ちに整理がつきました。


少しでも誰かの役に立てたなら。


皆が,早くこの苦しみから解放され,癒やされる日が来ますように。