一年ほど前に,ハンディキャップのお子さん(12歳)のために縫った車椅子用クッション。

飛行機内で使う空気枕のような形の合体物ですね。
中央の大きい所にすっぽりと胴体を収め,前方に伸ばした腕が小さなクッション部分の穴にはまる(または大クッションの上に置くだけ)感じです。ちなみに,大人も入るビッグサイズ。
自力では体のバランスを保てず,腕も横に垂れ下がってしまうので,身体を優しく固定してくれる柔らかい物が必要だということ。
ものすごい量の綿を買いましたが,それでも全然足りず,溜めておいたフェルトの切れ端もどさっと詰め込みました。とにかく,パンパンに詰めておかないとすぐにぺっちゃんこになるから。
大きい方のクッションは,布は二重。ミシンで綴じることができないので,パンパンのクッションを手縫いでぐぐっと引き絞りながら縫いました。腕用のミニクッションは,直立するように何周も縫い合わせてしっかり固定。
2週間くらいかかったような...。これも材料費(布・詰め綿)のみ頂いて制作しました。
ハンディキャップを持った人は,その子の身体の状態に合わせたアイテムが必要です。たまたま市販(といってもネット販売)されていたものがぴったりだとしても,恐ろしく高価。
多忙な家族には,作る時間はありません。裁縫の技術がある人に頼めることさえ,まれでしょう。完成するまでに何度か試作品を持って通わねばならず,当然何度か作り直すことになります。正直,作り直し(通うこと)が3回を超えると落ち込み,なかなかやる気が出せないことも。言われた通りに縫ったのに希望に合わなかったり,試作を持って行くと同意した時間に不在だったり...ひっそりと泣いたこともあります。
でも,何にも言えない子どもが一番苦しんでいる...。この不平等な世の中にあって,ちっぽけな自分にできることは何か。助けが必要な人に,自分の時間や技術が役に立つというのは大きな喜びでもあり,またがんばろうと思います。