3日後に迫った大統領選挙。アメリカ国内はもちろん,日本やその他の国々に大きな影響を与える。私の知人の離婚理由の一つは,白人の夫がトランプを支持していることだった。離婚の話が出た頃,我々夫婦(夫の専門はアメリカ政治)に考えを改めるように夫を説得してと懇願されたが,それは無理というもの…。
こちらは,バイデン候補の選挙資金のための小切手を郵送した封筒だ。

うちは,オバマ大統領にもヒラリー候補にもかなりの個人献金を郵送してきた。アメリカでは,支持する候補への個人献金で支援するのは普通のこと。
これは,投資だ。未来のアメリカ,そして世界のため。自分の利益だけのためなら個人投資でもすればよいが,個人では解決できない環境問題,核問題,人種差別,宗教差別,移民問題,銃規制,麻薬,医療保険,貧困や教育格差…政治家に託するしかない。この基盤なくしては,自分の幸せはない。他人は貧困で有色人種で差別されていても,私は豪邸に住んでいて贅沢な食事ができる,私は白人だから優遇されていてラッキー,私は感染対策のできる環境にあるから大丈夫…では社会の一員とは言えない。恥ずべきことだ。
4年前にトランプはI love the poorly educated.(低学歴者,愛してるよ)と発言。それはそうだろう。トランプがどれだけ憲法や法律を犯し,あらゆる差別(人種・女性・ハンディキャップを持った人・退役軍人)をし,間違いだらけの英語ででたらめなことを言っても,「法と秩序を守っている」と言われればあっさりと真に受けて支持するから。都合の悪いことは,フェイクニュースか「中国に聞け」で話をそらす。大勢のアメリカ国民が亡くなっていても,トランプは自分達の味方だと勘違いをして熱狂している。
「政治の話なんてわからない」とか「有名人(友人)の〜さんが…ってネットに書いていたから信じるわ」という低レベルでは,簡単に騙され,独裁者にいいように利用されるだけだ。うちの夫が言うのは,「大学に行って得たことの一つは,ものごとの本質が見抜けるようになったことだ。簡単に騙されない」と。
豪華なレストランで食事をする一時的な満足に比べれば,未来に投資するのがはるかに賢いと思う。どんな贅沢な食事をしたか,どんな高級車に乗っているか,どんな最新のファッションに身を包んでいるか…そして,それを自慢することではなく,あなたは何を考えているのか。それが生きる上で一番大事なこと。
「少額の寄付金なんて意味もない」とか「もっとお金持ちの人がドンと寄付するでしょ」という声もあろうが,何も変わらないというあきらめにも聞こえる。あてにならない他人に全てを任せたいのか。ネットの意見を丸呑みにして,自分の意見にしていいのか。
日本であれば,誰が総理大臣になっても世の中はあまり変わらないのかもしれない。直接投票もできないし,小市民の自分がわざわざ声を上げなくても,誰かがちゃんとおかしいことはおかしいと指摘してくれると考えるだろう。私は忙しいのだから…。
トランプが大統領になった時は,「4年も持たない。Impeachment(訴追)される」と夫を勇気づけようとしたが,「どんなに法に反しても,訴追には持ち込めない」と断言された。そして,長過ぎる4年間の始まりにひどく落胆した。トランプ政権のアメリカに住むことは恥ずかしいほど耐え難く,「アンタをアメリカに連れて来て,本当にすまなかった」と私の前で,夫は頭を垂れた。
さらにあと4年というのは,耐えられない。
アメリカで何か恩恵だけを受けて暮らすのもいいが,信念を持って未来のために数ドルでも寄付したというは,自分の人生をも豊かにする。
人生は短い。物ごとの本質を見抜き,正しい判断をしたい。