米国のジョン・ボルトン前大統領補佐官(国家安全保障担当)が読売新聞のインタビューで語った主な内容は,以下の通り。  

 

――在日米軍駐留経費の日本側負担が80億ドルだとする積算根拠は。  「経費負担を積算する上で、国防総省は様々な計算式を持ち合わせている。要は費用として何を含めるかだ。トランプ大統領は世界における同盟関係について、相互的なものと見なしていない。米国が日本を守っているのだから、日本が支払うべきだという考え方だ。そこに哲学などはなく、あるのはドルとセントだ」 (以上Yahoo.Japanより)

 

(学問・生き方としての)哲学なんて要らない,お金の稼ぎ方だけ知っておけば十分だと思う人も多かろう。進学を控えたお子さんを持つ方に,「大学で社会に出た時に実務で必要ないと思われる学問を勉強するのは,大事なことですよね」と話したことがある。ひどく驚かれたが,なるほどとも言われた。社会学や哲学,文学や心理学など,実際日々の職場では直接的には必要がない。しかし,時間がたっぷりある大学生活の中で,人間形成の根幹に関わることを学ぶ意義は実に大きい。 

 

先日,テレビで桂由美さんの特集番組を見た。言わずと知れたブライダル専門のデザイナーだが,88歳現役ということには驚く。若い頃フランスに留学されたそうだが,すべての判断基準が「エレガントか否か」だったとか。縫う姿勢からデザインなどのファッションはもちろん,普段の言動もすべて。学校で習得する技術や知識ではなく,目に見えない価値観だ。エレガントではないと言われたら,おしまいだということ。

 

アメリカでは,「クラス」という言葉がこれに当たるのか。Classにはいろいろな意味があり,ここでいうのは「気品」や「品格」という意味だが,実際はもっと深いと感じる。もちろん,気取ってお高くとまっているということでもないし,豪華な装飾品をまとった金持ちのことでもない。”He has class.”で,オバマ大統領の立ち居振る舞いなどを見た夫がよく使っていた。お金(自慢やケチさ)や性的なことには触れず,損得勘定で動くのではなく,人への思いやりにあふれて穏やかに礼儀正しくふるまう人。とにかく,classは総合的な人格のことだと思う。   

 

私が,ある人についてきちんと責任を果たしてくれるか心配している時も,夫は「心配無用。She has  class.彼女の友人を見てもわかる。だから信用しろ」と言った。Classかどうかで,すべてがわかる。

 

一方,株で大儲けして,常にお金のことばかり口にする知人がいる。映画の話をしようが,趣味の話をしようが,とにかく何でもお金の話に結びつけるので,うんざりする。「で,いくらかかったの」,「儲けは?」,「大した利益じゃないんだろう」はまだいいとして,うちの夫なんかは「あんたは貧乏だからね」と笑われていた。夫は全く気にしない性格なのでジョークのつもりで余計にからかわれるのかもしれないが,失礼にもほどがある。裕福さをひけらかして下品極まりなく,classにはほど遠い。He has no class.だ。こういう人に,「高価な宝石には興味がない」とか「お金ではないものを大事にしている」と言っても一切通じないだろう。宝くじで三億円当たったとでも言ってみようか。

 

日々を振り返って,自分の言動はどうだったか反省し,ちょっとずつより良い方向へ前進したいと思う。