ネットでの買い物も当たり前になってきたが,景気の悪化から犯罪率が増加しているのは容易に想像ができよう。
市販されていないクラフト用品をオンラインで探していた時のこと。値段・商品・評価(星の数)もよさそうだと思って詳細を確認すると,英語で「中国から郵送される」という記述が...。
昨年,「クローズアップ現代」(2019年10月2日放送)で「追跡!やらせレビュー ネット通販」というテレビ番組を見た。報酬を得て嘘のレビューを書きこむ悪質商法が増えているので,注意喚起をという内容だった。
注意すべきなのは,☆の数が1と5のみに分布している場合だという。高評価の5スターに書かれたレビューはニセの記述で,中国人出品者が人を雇って書かせたもの。日本語変換ソフトを使っているので,変な日本語になっているそうだ。
英語でも然りで,確かに怪しそうな商品を見ると5スターをつけているレビューの英語はひどい!I am happy with they.とかHats is cute.のような中学生でもわかる間違いだらけの文法で書かれている。You should buy this.やLove this!のように何のひねりもない短文の羅列。1スターのコメントは,騙された人が具体的に商品を批判しているために長い文章になっている。ニセレビューは,買って良かったとか是非買うべきだと強く勧める言葉がただただ繰り返されているだけだが,買ってもいないのだから使用後の具体的な感想はない。同じサイトの他の商品にも同じ人が書いたコメントだと推測できるものも多い。数をこなして稼ぐのだろう。
しかし,恐ろしいのは今後☆の数をうまい具合に1から5まで分散させ,正しい日本語や英語で嘘のレビューが書かれるようになることだ。ただ,その場合でも,使用感などの具体性の記述には欠けるので,やはり裏を読む読解力・想像力を駆使し,正しく判断する力が重要になる。
番組に出ていた悪質商法に加担する中国人(音声を変えて)によると,「日本人は,食事でも宝くじでも行列が長いほど,そこに行きたがる。自分で判断する意識が低い」と。何かが流行れば皆それを欲しがり,集団で同じ物を求めて行動するのが日本人の弱点。日本にいた時は気づかなかったけれど,外国で暮らしてみると日本人の特徴が客観的に見えてくる。
ネットで買い物する時は,小額でもクレジットカードを使うことになる。もし悪質なサイトで購入したとしても,偽物が届き返品不可くらいで済めばよい。クレジットカード番号を始め,住所や電話番号などの個人情報がリストに載り,売買されるかもしれないと考えたら恐ろしい。
私がオンラインで買い物をする場合は,夫とも「その初めてのサイトは信頼できるかどうか」を理由を挙げて確認し合う。一つの商品を買うのに数年かかって決めることもあり,衝動買いはしない。
しかし,番組によると粗悪商品は日本のアマゾンの倉庫から出荷されていたということだったので,大手のオンラインショップでも信用できないようだ。見分け方の手がかりとしては,悪質商品の出品者のほとんどが中国の深センというところに住所があるということらしい。以前は,郵送期間がどれくらいかかるか見積もるために販売会社や出品者の住所(日本かアメリカ国内のみ)を確認していたが,google mapで実在する場所かをまず調べなくてはダメだ。
かなりお得だなと思う商法や商品には,Too good to be true.(話がうますぎる)で必ず裏がある。うまい話を赤の他人である私なんかに持ちかけてくるはずがない!当たり前だが,世の中そんなに簡単に得しないようにできている。
顔が見えない販売者には気をつければいいという問題でもない。実名や顔写真を出して宣伝していたとしても,マルチ商法(ネットワークビジネス)の高額商品かもしれない。得しているように見せかけて,無限の割引買い物ループにはまることもある。家は大量の不要な商品であふれ,実は大損していたり...。とにかく,事前の確認を怠らず一人で判断せずに冷静な意見に耳を傾け,ブレーキをかけることだ。
オンラインでの買い物自体は時間がない人にも便利だが,店舗で買うよりも見極めに時間がかかる。購入を判断する力は,これまで培ってきた経験と知識による確信に基づくものである。信じるものに対して,その根拠は何か,理性(責任)はあるか,何か(誰か)に影響(コントロール)されていないか...家族の前でプレゼンテーションしてから買うくらいの気合を持ちたい。
マルチ商法については,数回にわたって記事を書きたいと思っている。
昨年12月上旬のラジオニュースで,ミシガンの人のクレジットカードの借金の平均額は7,500ドルだと言っていた。日本円で80万円以上で,もちろん家のローンは別。こんなに高額なのに,アメリカ全体からして見てミシガンの人の借金はものすごく少ない方らしいからまた驚く。このウィルスのせいで,さらなる借金もする...。大きな社会不安の中,得という甘い言葉や値段に誘惑されてしまう。
騙される人が増えれば増えるほど,騙す人(犯罪者)も増える。厳しい言い方だが,騙されるのは犯罪に加担しているということ。騙す方が悪いと正論を述べたところで,お金は戻ってこない。買い物においては,騙される方が悪いと自分に言い聞かせている。
失敗してから学ぶことも多いけれど,金銭的な損失と同時に騙された愚かな自分自身にも落ち込んでしまう。精神的なダメージも大きい。日本よりも犯罪に巻き込まれやすいアメリカなので,注意には注意をして買い物したいと思う。