うちの夫は,仕事を通してだけではなく個人的にいろいろな人々を支援してきた。現在は,イタリア在住の男性(もちろん会ったこともない)のアメリカの大学への留学に際しての支援。「一体なぜそこまで私に…?」と当人は困惑しているようだが,夫に言わせれば“The world is my community(自分のコミュニティは世界)”だからだと。(何かのキャッチフレーズのような…?)住んでいる国や人種,宗教,性別,年齢は全く関係ない。国をまたいで,見ず知らずの人々のために命の危険を冒してまで支援したこともある。当時,自分はテレビのニュースキャスターをやっていて顔は知られており,信頼に個人的に応えただけだと言っている。私の知る限りでは,夫は普段は非常に用心深く,リスクを伴うことはしない。これについても,“I got strength from helping people. (支援する人たちから力を得る)”そうだ。助けを求める方々からもらうエネルギーが強さになり動かされるという。一度引き受けたらやり抜く。お礼は一切受け取らない。

 

ただ,どんな人でもというわけではない。イタリア人の男性の場合は,彼の能力の高さと将来性があること,そして人柄が文面から判断できるから。世界への投資である。

 

「第一印象で人を見抜けないようでは問題である」と書かれた本を読んだことがある。面と向かって話さなくても,電話の声やメールの文面もそうだろう。テクニックで第一印象をよく見せようとしているのか,本性なのか。見るのは着ている服やバッグではなく,内面だ。本性を見抜かなくては,逆に落とし入れられたりだまされたりする。「人を疑ったことがない」と言う人もいるだろうが,「私は(あなたと違って)育ちがいいから」というメッセージが背後にある。しかし,それは単なる世間知らずということ。子どもならともかく,大人としてはで恥ずべきことである。

 

カフェなどで夫とコーヒーを飲んでいると,様々なお客さんが入って来る。第一印象で,「あの老夫婦は性格が非常によさそうである」とか,「あの男性は,何か隠し事をしている雰囲気がある」,「あの女性には,誰も逆らえないんだろう」等と二人で話すが,大体一致している。人種は関係ない。第一印象がすべてではないが,自然とにじみ出てくるものがある。

 

人の意見や見た目に左右されず,自分で正しく判断すること。見返りは期待せず,よいと思ったことを実践すること。

 

非常に難しいが,アメリカという国ならこれができると思う。アメリカで得たものは何かと問われれば,(高級品ではなく)この2つを挙げられるようになりたい。