梨の花が終わると,一斉にクラブアップル(Crabapple)が開花。いろんな種類がありますが,これは色合いも桜の木に似ています。クラブアップルというのは野生のリンゴの木のことで,姫リンゴとも訳されているようですね。
うちに入る道路近くには大きなリンゴの木が二本。今年も枝にびっしりと花をつけました。チェリーピンクという色にぴったりで,とてもエレガント。繊細な葉が風にそよぐのもさわやかで,風薫る五月を象徴する花です。遠目には梨の花とも似ていますが,葉の形状が明らかに異なっているので,識別は簡単。

リンゴといえば,渡米した頃様々なリンゴが売られていているのを見てびっくりしたのを覚えています。九州地方で生まれ育った私にはリンゴは高級品で,お見舞いや仏壇にお供えする贈答用の特別な果物でした。もちろん,リンゴの木もなければリンゴ狩りもしたことがなかった。食品スーパーにも,1種類しか売られていなかったような…。ところが,ミシガンでは果物売り場の面積もさることながら,リンゴ売り場の広いこと!果物の半分くらいの面積を占めている店もありました。リンゴ自体は小ぶりなものが多いのですが,それでも6~20個くらいの大袋で売られています。日本ではきれいに並んだパック入りか白いクッション付きのネットで覆われたリンゴしか見たことがなかったなぁ。
Fuji,Golden Delicious,Red Delicious,Gala,Pink Lady,McIntosh,Empire,Jonatheon,Janagold,Northern Spy,Cortland,Granny Smith,Braeburn,Ambrosia…ミシガン産ではないものも多いのですが,こんなにたくさん!日本にいた時は,何しろスーパーに一種類しかないものだから,迷うことも考えることもない。いろいろな種類を頂いた中で昨年ようやくHoney Crisp(ハニ―クリスプ)に落ち着きました。これは比較的新しい種で,硬さもちょうどよく甘味と酸味がふわっと口の中で広がり,とてもジューシー。たまにワインのような味がしてさわやかで,朝食に頂くと目が覚めます。パイやソースには向かず,生食が最適というのも納得。そういえば,数年前に「蜜入りリンゴがあると聞いたんですが…」と日本人の生徒さんが言われていましたが,考えてみるとこのハニ―クリスプのことだったんですね。
“An apple a day keeps the doctor away.”(一日一個のリンゴで医者知らず)ということわざがあります。主人は毎日リンゴ1個を昼食に持って行っていますが,おまけのデザート以上の位置付けで副食に近い。ずっと前に日本からおいでになったばかりの方の御宅に伺ったら,楊枝を刺したウサギリンゴがガラス皿に盛られて出てきました。確かに,日本では果物はデザートで,くし型でうやうやしく供されるメロンはもちろんのこと,果物自体が高級品ですね。ここでは,フルーツはひと口大に切られ,数種類が盛り合わせられているものが一般的で,お客さんにもそのようにして出します。結婚式を除いては,フルーツの飾り切りは見たことがありません。
リンゴはクラフトにも活用されています。クリスマスに,アップルソースにシナモンを混ぜてオーブンで焼いた手作りオーナメントを頂いたことがあります。
お菓子や飲み物など,身近になったリンゴをもっと活用したいと思います。