一時帰国などでひと家族に渡すお土産の準備は大変である。日本に住んでいる親戚や友人が独身だった頃は本人だけだったが,結婚したらご主人にも何か1つ。お子さんが生まれたら,また追加。増えたらまた追加というように,友人ひと家族につき4つ以上買うこともあり,一時帰国前のお土産はリストを作って早めに準備する。
「ひと家族にお菓子ひと箱でいいんじゃないの」と言われればそうだが,遠いアメリカから久しぶりに来るのに,家族全員を知っているのに,小さなお土産一つではがっかりさせるだろう…。じゃあ,あの大きなスーツケースには何が入っているんだと問いたくなるし。
しかも,「買ったお菓子が好みではないかも」・「Tシャツの色が嫌かも」・「ソープの香りがキツイかも」と心配は尽きない。一人につき数種類を用意するので,荷物の8割程はお土産だ。
イタリアのミラノに住む義姉家族にも同様にしていたら...「私の孫達に何か買ってくれたら,私や娘達には何も要らないのよ。孫にあげることでその家族全員がハッピーになれるから,それで十分だってこと」とピシャリと言われた…!
本当に衝撃的だった。これが言える,言い切れるというのはすごい。こちらからお土産の数を減らすのは難しいから,ハッキリと言ってもらえて本当に肩の荷が下りた。
お土産をもらうのは嬉しいが,立場を変えればよくわかる。期待すれば期待される。相手に負担をかけていることを察することだ。配慮と気遣い。
病気や怪我のお見舞い等で,日本に何か郵送することがあるが,「お返しは本当に何も要らない」と強調している。快気祝いといっても,退院しただけでまだ療養中の身だろう。日本では,職場や親せきなどお見舞いを下さった方々に礼を欠くことはできないから,そちらを優先してもらいたい。
それに,わざわざ国際便で何か郵送してもらうのは手間もお金もかかる。アメリカで暮らしているとお返しという慣習がないので,返って負担をかけて心苦しいと強く思うようになった。そういうわけで,「必要な物があれば手配するので,遠慮なく言って欲しい。元気になってくれることが一番のお返しだ」と伝えている。