アメリカには本当にいろーんな人種が混ざり合っているが,中西部ミシガンも然り。この辺はアフリカ系,こっちに行けばアラブ系,そちらはアジア系,あっちはユダヤ系にインド系が多いとか,車で10分くらいの範囲内で見かける人種が異なる。

 

ある日のこと。スーパーの入り口でカートを引き出して店内に入ろうとしたところ,前に親子と思しき2人連れの女性が立ち止まっていた。そして,私に向かって床に落ちている小さな紙切れを指さして「それは,あの人(彼女らの前を進んでいた初老の男性)が落とした物なの。彼に渡して」(英語)と。床に落ちている物を拾い上げてみたら,ポケモンに似たマンガのキャラクターのシール。「これは子どもの物だし,あの人の物ではないと思うけど」と伝えたら,懇願するように「あの人が落としたのよ。お願い,渡して」と続ける。仕方なく男性を追いかけて彼の物ではないことを確認したら,親子は安心した表情で「ありがとう」と去って行った。

 

少し離れた後ろの方から見ていたうちの主人に,「…何で自分で言わないのかねぇ?」と聞いたら,「そりゃそうだよ。彼女らはムスリム(イスラム教徒)だから,男性には話しかけられないんだ。私だって彼女らを助けてあげられない」と。そうか,そうだ,頭のヒジャブ(スカーフ)を見ればわかること。女の私にしかできないことだ。

 

以前高校でイスラム教徒の女生徒と話した時,男性教員とは握手もできないし,集合写真でも横に並んで撮ることはできないと言われた(しばらくメール交換をしていて,何とコーランまで頂いた)。

 

店のレジ係とか病院などの受付や医者が男性だったらどうなるのかと主人に聞いたら,「それは女性や家族で対応していて,ちゃんと何とかなっている」と言う。しかし,父親や夫,息子の助けがない限り,消費者としては女性が働いていないと困るということだ。日本では女性の医学部入試の不合格が問題になっているようだが,女性にしかできないこともあるとあらためて考えた。 

 

生まれた時から当たり前のことだったとしても,理解がない地域で暮らすのは大変だろうなと思う。主人によると,彼女らは服装や顔立ちからしてパキスタン系のイスラム教徒だろうと言う。私には国までは到底識別はできないが民族の違いも少しはわかるようになったし,小さな体験を通して学ぶことができるのは興味深く,もっと知りたいと思う。本当にいろんな人がいるので,それぞれの文化や立場を理解し,時間や気持ちなどすべてに余裕を持って接したい。

 

ところで,本日は雷雨による停電のために学校区全体が休校に。インターネットが使えなかった学校もあった。カリキュラムナイト(保護者に授業内容を説明する会)が予定されていた学校は変更になる。子どもの急な休校によって家庭でも予定を変更したり面倒を見る人を手配したり,本当にいろんなところに影響が出てくる。昨年度の休校日は,水道水の汚染2日を含め,6日にも上った。授業日を確保するためにも冬を除く休校はないに越したことはない。