うちの夫は中東に15年間(5~20歳)住んでいたことがあり,国際関係・アメリカ政治が専門なので,よく難民問題について話す。「アムネスティインターナショナル」や「国境なき医師団」を始め,難民を支援している団体に毎月寄付金を送っているが,夫はシリアの難民のためにわずかな私財を投じてもう少し支援したいという。先日も貯金を使っていいかと聞かれたので,もちろんだと答えた。うちは根っからの質素倹約気質で贅沢三昧な生活は好まないから,まぁ何とかなる。
今年(4月?)のアムネスティインターナショナルのニュースによると,アメリカ(現大統領)が受け入れた難民数は,何とたったの11人…。欧州には百万人を超える難民であふれかえっているというのに。「アメリカを再び,偉大に」と言うが…環境問題にしろ貿易問題にしろ,本当に自国の目先の利益のことだけ考えているのが今のアメリカなのだ。非常に恥ずかしい。
夫はアメリカ政治を教えているが,「現アメリカ大統領が大学でアメリカ政治のクラスを取れば,落第確実」だと断言している。それに,一般国民が知りえるニュースは氷山の一角に過ぎないので,裏にはどれだけ恐ろしい事実が隠されているのだろうか…。
イタリアのミラノに住む義姉とローマに住んでいるその娘は,主にシリアからの難民に無料で英語とイタリア語を教えている。言語だけではなく,生活上必要なスキルも教えているそうだ。Skypeで義姉に「自由時間は何をして過ごしているのか」と尋ねた時に,「自由時間なんてないわ。空いた時間があればシリアの難民に英語を教えているから」と言われて初めて知った。慈善活動を見せびらかしてするのではないし,裕福でもなく時間的にもゆとりがあるわけでもないのに,同じ人間としてできることを当然のこととして実行しているのである。
夏には,イタリアにいる難民10名を自宅の食事に招待したそうで,このような扱いは初めてだと涙ぐむ人もいたとか…。
同じ人間なのに,汚染された水しかない人もいれば,しょっちゅう高級レストランに行き贅沢三昧している人もいる世の中。自分が稼いだお金で何を飲み食いしても自由だというかもしれないが,家庭の収入というより前に,たまたま日本やアメリカに生まれて生活しているから。政府の補助も受けられ,最低限度の生活は保障されている。膨大な靴を所有していたイメルダ夫人は別だが,一人が食べられる量や身に着けることのできる物には限りがある。贅沢の上限を決め,残りは「皆が最低限の生活が送れるように寄付すること」と決まっていればいい…資本主義ではなくなるが,特にこのホリデーシーズンには,同じ人間として生を受けているのにあまりにも不公平だと憤ってしまうのである。セレブ(?)自慢などは,高級レストランでの豪華ディナーで使った金額ではなく,ボランティアや寄付金の額になれば…と夫に話したら,「そういうのは神様だけが知っていればいいことだよ」と言われた。
精神を鍛錬し,自分にできることをよく考えて実行したい。