子どもの日といえば,ちまき。

元レストラン経営者の中国人の友人宅に遊びに行くと大量にもらうのが,この手作りちまきだ。この日は,12個(6個入り2袋)をお土産に。主人は食べないのでほとんど冷凍庫で保存する。ある年は,子どもの日までの3日間毎日ちまきをおいしく頂いた。

 

うちの故郷のちまきには具がなく糯米を竹の皮に包んで蒸しただけで,やたらとでかかった。砂糖につけて食べるのだが,まあ…想像通りで特に美味というわけではない。実家は長崎街道沿いにあり,別名シュガーロード。昔砂糖は大変貴重なものだったので,砂糖をふんだんに使った料理やお菓子は最高のごちそうだったらしい。カステラにカスドース,長崎物語などお菓子はもちろん,郷土料理の押し寿司も甘い!長崎出身者と結婚した人は料理の甘さに驚くとか。うちの親戚にも甘党がいるが,健康を考えて甘さ控えめのまんじゅうを作って出したら「砂糖屋が遠い」と言われた。これは,「甘さが足りない」という意味。砂糖をたっぷり使用するならば肥満や糖尿病などの成人病が多かろうと思われるかもしれないが,そんなことはないので,県民の遺伝的体質ではなかろうか。

 

この中国風ちまきは,具沢山だ。味付きの中華ソーセージ・ピーナッツ・豚肉が入っている。たまにゆで卵(ニワトリではない)も。

 

ピーナッツは圧力鍋で炊いたものだ。私の地元では,ゆでたピーナッツ,通称「ゆでピー」が有名。「秘密のケンミンショー」や「あさイチ」というTV番組でも紹介されたことがある。殻ごと塩ゆでしただけのピーナッツは食べ出したら止まらない!お酒のつまみには,枝豆ではなくもちろんゆでピー。そして,ナントいってもおいしいのが筑前煮(地元では煮しめや煮ごみと呼ぶ)の具のピーナッツ。子どもの頃は鶏肉・昆布・ゴボウやニンジンなどの根菜類を食べた後,器の底に残ったピーナッツを食べるのが最高の楽しみだった。

 

食べ慣れていない人にはゆでたピーナッツは好まれないと思うが,ゆでた落花生で育った私としてはこのちまきは最高!!生の落花生は中国の食料品店で販売されているので,塩ゆでして頂くことも。なつかしい故郷の味!

 

私が小学校教員になって児童と初めて生活科の授業で畑に植えたのもピーナッツ。落花生という呼び名の通り,葉から伸びた芽が地下にもぐり,そこで実を結ぶ。毎日観察していると,にょきにょき芽が伸びて本当に驚いたものだ。大豊作で,秋祭りの主役となった。

 

このちまきは,彼女が中国人の母から教えてもらったというファミリーレシピによるもの。作り方を教えてくれると言うことで,以前日本人の方を誘って,料理教室を開いてもらった。

笹の葉で糯米をきれいに包むのはコツが必要で難しく,まさに手取り足取りでの指導。ご一緒した日本人の方は器用に美しい三角錐に形作っていたのだが,私のは何故か直方体に…。

 

ちなみに,ちまき用のこの紐の細さは他になく,ペーパークラフトで大活躍…!

 

柏餅は,「春まで柏が落葉しない」ことから子孫繁栄を願って餅を包むのに使われている。では,ちまきは…?ちまきはいつ食べるのかと彼女に聞くと,Boat Day(ボートの日)だという。その時はピンとこなかったが,ボートとはつまり「ペーロン」のこと!長崎は中国文化を取り入れた食べ物やイベントも多く,夏にはペーロン大会も開かれている。一体何故ボートの日にちまきなのかネットで調べてみたら…「中国の未来に絶望した政治家・詩人である屈原が,川に身投げをして自殺。民衆は彼を救おうと,川に米を投げ入れた」のが始まりという説が有力だと。

 

…アメリカに住んでいると,様々な文化を学べて非常に興味深い!