クリスマスシーズンだが,うちは夫婦でプレゼントを贈り合うことはない。夫は「アンタがいれば他に何も要らない」と断言するし,私も「誕生日にもバレンタインにも結婚記念日にも,贈り物は要らない。クラフト道具をまとめて買うからそれで振り替える」と言っている。クラフト道具は趣味&仕事用だが,オンラインショップでまとめ買いすれば送料無料になるので年に1度セール時に利用する。

 

しかし,2008年にもらったプレゼントは特別なものだ。最新のブランドバッグでも高価な宝石でも,高級レストランのディナーでも豪華客船によるクルーズ旅行でもない。

 

…それは本!!

 

夫が執筆した本の「~に捧ぐ」の献辞のページ,そこに私の名前が印刷されている。

 

This book is dedicated to (私の名前), 

my wife; my reason for loving,

and everything else worth living for.

 

Be dedicated to~は「に捧ぐ」で,worth living forは生きる価値,つまり「生きがい」という意味。

 

約3年間かけて書きあがった政治の本だ。一生懸命働いたお金で何かを買ってもらうというのはもちろん嬉しいことではあるが,これは夫自身がゼロから作ったもの。執筆業は副業の副業なので,週末だけの地道な仕事である。

 

印刷や製本など直接本自体を作るわけではないから,選び抜いた言葉や綴られた文章そのものが贈り物になる。印刷物は形としての完成品が1冊ではない。アマゾンで注文した見知らぬ人も手に取り,私の名前を目にする。

 

献辞のページに名前を入れるというのは,その人物への誓約であり覚悟だ。一生の贈り物。

 

現在のアメリカは,残念ながら「お金さえあれば何でもやっていいし,それができる」,「環境問題は経済の妨げ」という物質主義で自分勝手でよいという間違った政権下にある。クリスマス時には特に,世界中の貧困者や難民,自然災害による犠牲者などを考える。戸棚には明日食べる米(パン)はある。うちではいつも「それ(高級品)は要らないね。十分こっちで間に合っているよ」と話す。「足るを知る」ことで満足できる。