日本で4月末といえばゴールデンウィークの始まり。

ラジオで,"Half way through the Halloween!"(ハロウィンまであと半年)なので仮装してパーティを開くと聞いたことがあります。

…衣装やパーティグッズ等商売目的なのでしょうが…それにしても「~まであと半年パーティ」って…盛り上がるのか…?「6月25日はクリスマスまであと半年」というように,記念日を作るのはいとも簡単じゃないか。年に一回だからこそありがたみがあるというものですが,イベント好きな人にはいいのかもしれませんね…。

ハロウィンといえば,お化け。

ところで,ワタクシ,いい大人でありアメリカ生活も長くなりましたが…いまだに一人で留守番をしたり外出したりすると,主人から「ブギーマンにさらわれないように気をつけろ」と言われています。

冗談半分だとはいえいくら何でも心配し過ぎだと言うと,「お宅のご両親や親族の方々に『よろしくお願いします』と頼まれたから」と結婚当初の話を持ち出してくる…この会話の繰り返しなので,もう何も言いません(笑)。

しかし,ブギーマンって…何だろ…どうせ主人の適当な造語だと思っておりましたが,違った。実存する言葉でした。書き言葉というより子どもに使う言葉なので,Bogeymanなど綴り方はいろいろあるようで…。

実態のないオバケと言えば,子どもの頃には「3大恐ろしいモノ」がありました。

1つめは,「あもよ」。これは長崎県の方言で,お化けの意味。姿形は不明。語感から宙に浮遊しているイメージです。

次は,「ヨゴエハッチョウ」。これも姿形や行動について語られることはなかったものの,十分怖かった。「チョウ」という語末から勝手に「鳥」だろうと想像していたのは私だけではないとは思うけれど,何故か図鑑で見たダチョウのイメージでした。大きな鳥で足が長く,暗闇を猛スピードで走って来る。その後食べられるとかさらわれるなど具体的な行動については不明で,聞くのも怖かったのか,とにかく名前だけの存在。

…そういえば,後に動物園や本などでダチョウを見る際も,「ヨゴエハッチョウ」が無意識の中にも頭をかすめていたような…(笑)。小学校の国語で「かたあしダチョウのエルフ」を勉強した時も,確かに!勇敢で心優しいダチョウだったのに,怖いというイメージが先行し何とも気の毒な…本当に困りものの言葉。

近年になり調べてみると,「夜声八町(丁)」という立派な漢字があるではありませんか…!うちの家族の造語ではなかったのかと知ってびっくり。夜に発する声(鳴き声)は八町まで届く,つまり夜は静かに過ごせという意味から,長崎県ではお化けを意味する方言になったことらしい。ふぅむ…。

使い方は,夕方以降に泣いたり笛などの楽器を鳴らしたりした際に,大人に脅される。「ヨゴエハッチョウの(が)くっぞ(来るぞ)!」と。子どもなので,それでピタリとやめるわけです。

1町は約109mなので,8町は約872m。

自分で漢字を当てはめるとしたら,「四越八鳥」かな。四つの峠を越えて八本足の鳥が飛んでくる…怖い!「四苦八苦」の親戚みたく数字が並んでいて,四字熟語にいかにもありそう!?

最後は,お寺の「仁王様」の像。先祖を祭っているお寺の門の両側に,大きな仁王像が一体ずつあります。子どもが悪いことをすると,金網の柵を破って仁王様が成敗しに来るという親の話。ヨゴエハッチョウとの決定的な違いは,仁王様は実在しており昼夜問わないところ(笑)。子どもを昼間に脅す時は仁王様の登場というわけ…。

「幽霊」や「オバケ」というおしゃれな(?)言葉は,家庭内では使われることは一切ありませんでした。恐ろしい響きもないし,絵本などで絵描かれているので想像の余地も少ない。

「あもよ」や「ヨゴエハッチョウ」は得体が知れず,祖父母のような老人から語られるので,昔からこの地域に実存するらしいという雰囲気が醸し出されている。よって,サンタクロースは信じていなかったけれど,これらは現実味があり無条件に信じていました。怖いものは実在しそうだと信じていたのですかね。

春といえば,スプリング・クリーニング。うちでは,ダチョウの羽のハタキを使っています。これを使う度に,「エルフ」だの「夜声八丁」だのが頭をよぎり,困っていますが(笑)。