出張でアメリカに来ていた頃,当時私は日本で小学1年の担任だったため,主に低学年のクラスに入りました。

その日の1年生は,専科の先生による絵画の授業。みんなでアートの教室へ向かいました。

まず,先生は子ども達3名をそれぞれ離れたところに立たせて,そこでdistance(空間的な広がり)やoverlap(重なり)を教えたのです。…これは…遠近の授業!何と1年生で!

さらに,「近くのものは,大きく画面の下の方に詳細を描く」・「遠くのものは,小さく画面の上の方にあいまいに描く」ことも指導されました。

そして,ミニチュアの恐竜を3つずつ選ばせ,画用紙に遠近感を意識しながら描かせました。

太陽は,空に丸く描いてはダメで,山の後ろから半分くらい出ているように描くように指示。重なりによって,遠近感を出させているのです。何も言わなければ,太陽は独立した真ん丸で光線(burst)まで描いたりしますよね…。

恐竜の周りには大小の岩を描きます。これも,手前の岩は大きく遠くの岩は小さく。

…目からウロコのあっという間の40分間の授業でした。先生の指導力もかなり高く,子どもたちは集中して学習。

指導項目には,Identify use of spatial relationship(空間関係の認識)とあり,これは指導すべきことになっています。日本の小学生では,高学年になって「奥行き」という言葉が出てきます。子どもの自由な発想を妨げるので,描き方を指示し型にはめてはいけないという意見もあるでしょう。しかし,奥行きを意識せずには絵は描けません。空間の概念は理解に個人差があり,基礎的なことなので低学年から指導すべきだと思います。

この授業を参観したことが,ペーパークラフト(特に親子クラス)での指導に役に立っていると感じます。