アメリカに引っ越して来てすぐに,自宅で日本語を教え始めました。主人の同僚の中学生の息子さんで,ありがたいことに私が引っ越して来る前から楽しみに待っていてくれた生徒さんです。

毎週2回来ていましたが,ある日お母さんから「すみません,今日はバスケットに行くからレッスンを休ませて欲しい」(私には英語でこう言われたように聞こえた)と電話がありました。「バスケットを観に行くのかな?それにしても声のトーンが低くて悲しそう」と思って話を続けてみると…

ローザ・パークス(Rosa Parks)さんのお葬式に行くということでした。ローザ・パークスさんは,アフリカ系アメリカ人公民権運動(African-American Civil Rights Movement)活動家であり,その年の10月24日にデトロイトの自宅で死去されたのです。

ヘンリー・フォード・ミュージアムには,アフリカ系アメリカ人である彼女が白人に席を譲ることを拒んだ時のバスが展示されています。人種差別に関する様々な展示物もあり,これは必見です。

生徒さんの親子は,アフリカ系アメリカ人です。人権問題に関心が高い彼女は,毎年開かれるMartin Luther King Jr.Dayの日のイベントでもMCとしてステージに上がられます。

私が聞き間違ったのは,バスケットではなくカスケット(casket)。棺という意味の単語は,coffinだけではないのですね…CasketはCoffinの遠回し語。それにしても,カスケットとバスケットを聞き間違うとは…あきれます。

さて,これはCoffin 型のお菓子(キットカット)入れです。

包帯は,日本から持ってきたゴム状の平紐です。

棺の表には,RIP(Rest In Peace)で「安らかに眠れ」の意味の頭文字。

棺をギギ~ッと開くと…包帯でグルグル巻きのミイラが。赤いキットカットをミイラの体に見立てて,ガイコツの顔を貼っています。

この作品は日本人の方にはちょっと不気味過ぎるのか不人気なのですが(笑),アメリカ人には圧倒的な人気!パンプキンなどかわいいものは見慣れているせいか,おもしろいものや毒のあるものを求めているのでしょう。

最大で6個も作った人がいます。このガイコツは怖いというよりはマヌケな感じなので,開けた方は決まって大笑い!クラフト店や隣近所の方にも大ウケで,隣のおばさんは笑いが止まらなくなって…1つプレゼントしました。

言葉はうまく通じなくてもクラフト作品を通せば,人となりが見えていろいろな方々と仲良くなれると思います。