ペーパークラフトでは,実に様々な紙を使います。

カードストックと呼ばれる色画用紙・パターンペーパー(模様入りの紙)・べラム紙・チップボード(厚紙)・コピー紙・ブリストル紙・水彩画用紙・グリッター紙(キラキラした加工)等いろいろな加工紙。専門店には,実に様々な紙があふれています。

書道の半紙や和紙(Washi tape=マスキングテープ),折り紙など,日本の紙もバラエティが豊かです。

包装紙・ティッシュペーパー(紙袋にクシャクシャにして入れる薄紙)・電話帳・新聞・折込広告・カレンダー・ペーパーホルダー…身近な紙も大いに使えます。

その中でどうしても使えない紙が2つあります。

1つめは,書籍。古本の1ページを破いてカードを作ることもできますが,雑誌を除く書籍には畏敬の念のようなものがあり,どうしても破ることができません。使う時はコピーしています。

もう1つは,紙幣。書店で,ドル紙幣を使ったOrigamiの本を見たことがあります。「お金や食べ物をおもちゃのように扱ってはいけない」と躾けられて育ったので,ひどく不快感を覚えました。折り紙は好きですが,これは頼まれてもやりません。貧しい環境で育った人にとっては絶対にありえない発想です。また,折り線がたくさんついた紙幣を使うことを好む人もいないでしょう。

日本の紙幣は千円札からなので,アメリカの1ドル紙幣の約10倍の価値です。千円札,つまり10ドル札を折ることはためらわれるけれど,「1ドルくらいなら」という意識が働いているはずです。しかし,お金であることには変わりありません。

先日,知人の妹さん(アフリカン・アメリカン)から,「ナイフ会社に就職した。デモの練習を見て評価をして欲しい」と電話がありました。日曜日の午前中に,彼女はたくさんのナイフやフォーク類を抱えてやって来ました。ナイフの切れ味がどれだけすごいかを見せるために,まず彼女が取り出したのは太いロープ。直径3㎝くらいはありそうな縄をナイフで切って見せるというのです。最初は黙って見ていましたが,「わかったからもういいよ」と途中でやめてもらいました。理由は,切りくずが散らかることと,(キッチン用のナイフで)縄を切る必要はないからです。次に取り出したのは,1セント硬貨。何と,キッチンバサミでこれを切ると言うではありませんか!同席していた主人が「Government property(政府の財産)に傷をつけることは刑罰の対象になるのではないか。危ないし,やめた方がよい」と助言して途中であえなく終了(主人は大学でアメリカ政治を教えています)。当然ですが,1セントくらいというコインの価値の問題ではありません。

先に「食べ物をおもちゃのように…」と書きましたが,クラフト道具を食べ物に使うことに関するアドバイスもしません。かわいいお弁当のために,パンチで海苔などを抜く人もいますが,エスカレートすれば海苔をダイカット!という恐ろしいこともあるかもしれませんね…笑いごとではなく…。これも,除菌すれば衛生的という問題ではなく,やはり信念に関わるところです。

何事も幅を広げればよいというものではありません。食べ物は食べ物,お金はお金。目的と正しい使われ方の範囲の中で,ペーパークラフトのアイデアをひねり出したいと思っています。