注意ネタバレです。OKの方のみどーぞ。(前回



ここから始まる関係


ほっと・・ここあ





















いっぱい悩んで、いっぱい考えた。


これまでのこともちゃんと思い出して、

考えに考えて出した答え。


それは、シンプルに私は先輩のことが好きだということだった。


先輩とずっとこれからも一緒にいたい。


だからーー


彩人

「・・・・っ、○○ちゃん・・・」


「先輩・・・・来て、くれたんですね!」


走って来てくれたのか、肩で息をしている先輩。


名前を呼ばれて振り向いた私を見て、信じられないと

いった表情を浮かべてゆっくりと近づいてくる。


「先輩、ごめんなさい。急に呼び出して」


「でも、ちゃんと顔を見て話・・・・したかったから」


彩人

「・・・うん」


私の前で足を止め、少しどこか落ち着かない様子の先輩。


「彩人先輩」


彩人

「・・・・っ」


私が彼の目を真っ直ぐ見つめると少し顔を強張らせる。


そんな先輩の顔をじっと見つめたあと、


「・・・・・ごめんなさい!」


頭を下げて、謝った。


彩人

「・・・・・・!?」


「ごめんなさい。私、先輩の気持ち、全然わからなくて・・・・」


「でも、やっと気づいたから」


「・・・・本当にごめんなさい」


謝って、ゆっくりと顔を上げる。


「あ・・・・」


すると先輩は、少し罰悪そうに顔を背けて、困ったような

微笑みを浮かべていた。


彩人

「まさか謝られるとは思わなかったな・・・」


彩人

「だってひどいことをしたのは僕の方だから」


「・・・・でも、私も・・・・っ」


彩人

「君は知らずに、だよね。僕はわかっていて、わざと君を

傷つけたんだ」


彩人

「そりゃあ、知らずに人を傷つけることが良いことではないけど」


彩人

「それが悪いともいえない」


彩人

「でも僕のは故意にだからね。責められて当然なのに・・・・」


彩人

「君は僕に謝ってくれた」


「だって、先輩とこのままなんてイヤだから」


彩人

「・・・・・うん」


「私、先輩のことが好きだから・・・・だから」


彩人

「・・・・・うん」


彩人

「僕もーーだよ」


「!!」


先輩が私を抱きしめる。

とても強く、だけどすごく優しく。


彩人

「○○・・・・」


そして久しぶりに、先輩のささやく声を耳元で聞く。


優しく甘い声に涙が出てきそうになる。


それを堪え私は先輩の背中に手をまわす。


彩人

「怖かった」


「え?」


彩人

「怖かったよ、ここ数日」


彩人

「君が戻って来てくれなかったら、どうしようかと

眠れなかった」


彩人

「怖くて、寂しくて、悔しくて・・・切なくて」


彩人

「この歳で初めて泣きそうになったよ」


泣くという言葉に少し驚いて、身体を少し離して

先輩の顔を見上げる。


彩人

「・・・・・」


先輩は本当に今にも泣き出しそうな顔をしていて

少し瞳もうるんでいたかもしれない。


そして私の頬に手を当てると、優しく微笑み、

唇を寄せて・・・・


???

「あはははは!聞いた、隆!あやさん泣きそうになったんだって!」


二人

「!!」


キス寸前に、わざとらしい笑いが真横から聞こえて、

私と先輩は同時に声の方を向いた。


そこにはーー


秋夜

「でもさ、そうなったのも自業自得じゃん」


秋夜

「なに切なくなったりしてんのさ、バカみたい」


笑ったと思ったら、真顔で彩人先輩にバカという桜庭くんがいた。


そして、その隣りには


「○○先輩、良かったね!仲直りできたね!」


少しだけ寂しそうだけど、明るく私に微笑みかけてくれる結城くんの姿。


「・・・・○○先輩、後悔、してないよね?」


「・・・・結城くん」


「・・・・・・」


「してないよ!ありがとう、大丈夫!」


「うん・・・・わかった。先輩が本当の笑顔を取り戻してくれて良かった」


秋夜

「・・・・お人好し」


「なに?秋夜先輩」


秋夜

「なんでもっ」


彩人

「で?君たち、なにをしてるのかな、こんなところで」


いままで黙っていた先輩は、顔をひきつらせながらふたりを見つめた。


秋夜

「それは隆に聞いてよ」


秋夜

「俺も呼び出されたんだから」


彩人

「結城くん?」


言えといわんばかりに、先輩は結城くんの名前を呼んだ。


「はーい!」


だけど結城くんは、彩人先輩の睨みなどなんのその、

という感じで、手を上げて返事をした。


なんだろう、この3人の温度差・・・・・。


すごい怖い。


「仲直りしたくてここに来たんだよ!」


「これからも綾瀬川先輩と○○先輩と一緒にいたいから、オレ!」


「ほら、みんなこれで仲直りしよー!」


結城くんが手に持っていた袋から缶ジュースを人数分だして

それぞれに渡していく。


はい、と明るい笑顔に負けたのか、彩人先輩と桜庭くんも

その缶ジュースを受け取っていた。


そしてちょっと怪訝そうに缶ジュースを見つめて、ハアっと

ため息を同時につく。


秋夜

「仕方ないね」


彩人

「そうだね。つきあってあげるとしようか・・・・」


そう顔を合わせて笑い合うふたりを見て、

私もなぜかとても嬉しくて笑顔になっていた。


「じゃあ、仲直りを祝してーー!」


結城くんの声に合わせてみんな缶ジュースを

開けようとするけどそれよりも先に・・・・


「えーい!」


三人

「!!!!!!」


結城くんが缶ジュースを先輩に向けながら開ける。


その結果ーー


彩人

「・・・・・・元気、くん?」


缶ジュースの中身はどうやら炭酸だったようで・・・・


彩人先輩と桜庭くんが見事に頭から炭酸をかぶってしまっていた。


「あはははは!恒例のジュースかけー!」


どうも結城くんの策だったみたいで、それを彼の言葉から

察した彩人先輩は、ゆっくりと手にした缶ジュースを振りながら

笑い出した。


彩人

「く・・・くく・・・ふふ」


「??」


彩人

「僕と○○ちゃんの時間を邪魔したあげく、これか・・・」


彩人

「覚悟は出来てるんだろうね、元気くん?」


「え?覚悟??」


秋夜

「・・・・・・・・・」


微笑みながら怒る先輩と、無言で缶ジュースを振る桜庭くん。


私はとりあえず、。このあとのことを想像し、みんなから

少し離れたところで普通にジュースを開けた。


そして離れたところで眺めることにした。


すると、準備が出来たのか、先輩と桜庭くんが同時に缶を開ける。


「わあっ!」


それにより、結城くんがふたりと同じように濡れ、

かけあいが始まっていた。


ほっと・・ここあ

無邪気に笑いながら、3人は子供のように楽しんでいた。


「なんていうか、さっきまでの温度差はいったいって感じ・・・」


学年も性格も全然違う3人が繋がったきっかけが自分なんて

ちょっと変な感じだけど。


なんかこれはこれで良かったのかなと思ってしまうくらい、

3人は楽しそうにしていた。


彩人

「ちょ・・・・転校生くん、服の中に入れるのは反則だと思うんだけど」


秋夜

「気持ち悪いなら、脱いじゃえば?」


秋夜

「そしたら俺、写真とってあげるよ」


秋夜

「んで、伊勢に渡す」


彩人

「!!!!」


「秋夜先輩、写真撮るならオレもー!」


秋夜

「わっ、ちょ、本当に脱がないでよ、隆!やめっ・・・・!」


彩人

「秋夜くん、いま聞き捨てならない名前が聞こえたんだけど」


秋夜

「あ、まずい」


彩人

「元気くん、もうジュースはないのかな?」


彩人

「秋夜くんが、全身に浴びたいって言ってるんだけど」


秋夜

「は!?」


「あるよー!へへ、彩人先輩もいっぱいかけてあげるね!」


彩人

「いや、僕はいいから」


「水もしたたる~いい男~♪」


・・・・・。


・・・・・・・・・。


そしてその仲直り会はこのあと30分くらい続いて・・・・。


結局、ずぶ濡れになった3人は終わった後に後悔したらしく、

どーんと肩を落とした状態で私のところへ戻ってきた。


でもーー本当に良かった。


みんなとまたこうして笑い合えることが出来て。


これからも一緒に笑い合えることが出来るようになって。


本当に良かった。