12月4日 控訴審 意見陳述抜粋
女川支店の屋上を避難場所として追加したのはこれまでの女川を襲った津波が4・3メートルにすぎず、第三次宮城県地震津波被害想定調査における津波浸水深予測図でも、女川は最大5・9にしかならないとされていることから合理性があるなどと主張している。
そもそも女川は過去何度も大津波に襲来されている歴史や、その付近に環太平洋地震帯を抱え、周辺では大地震が発生し、その後周囲では20mを超える大津波が過去に何度も襲来されている事が明らかになり、しかも女川湾は震源地のある、その太平洋に臨んで開いており、しかもⅤ字型湾で、津波を増幅しやすい特徴があるとされている。震源や波源域などの関係から、少なくとも過去に周辺で経験している程度の大津波が襲来する可能性は容易に予測できる。
県も、昭和59年から昭和61年に実施した津波被害想定調査において、女川湾小海域は、想定地震津波の波源域に直面しているために、三陸地震津波、チリ地震津波を上回る巨大津波に襲われるとされ、特に湾奥部で多きく10m近くまで増幅するとまで指摘しているところである。
銀行は自らが根拠としたという上記資料自体が、あくまで「想定であり、実際には早く到達することや、より高い津波高となることなどある」と断っているにも関わらず、最大でも5.9mの津波高にしかならないなどと安易にその数字のみを軽信し、これのみに依拠して、同支店の屋上を安全な場所であると誤信し、避難場所に追加した。
過去に襲来した最高の津波高を超える津波が襲来しない保障などどこにも存在しないこともいうまでもない。
実際に襲来する津波の波高以上の高い所へ避難しさえすれば、確実に生命及び身体の安全を確保できるという津波被害の特殊性を全く理解していないと言わざるを得ない。
子ども向けの文献でさえ、より高い所への避難を訴えている。
女川支店避難場所として、堀切山を指定しておきながら、更に、同支店屋上を津波の際の避難場所として追加したことは完全なる誤りである。
それと全く同じ理由で津波襲来の危険を認識しながら同支店の屋上に避難することもまた完全に間違っている。
次回口頭弁論 ; 平成27年 1月26日 16:00~