『瞳の犬』新堂冬樹 著
夏の公園に虐待の傷を負い捨てられていた黒いラブラドールレトリーバー
介助犬訓練士の三崎達郎は
犬に運命的なものを感じテレサと名づけ介助犬として育て始めた
母の死によって心の傷を抱える達郎は
テレサに不思議な癒やしの力を感じた
公園で出会った12年も口のきけなかった女性をテレサは治し
達郎はその瞳が起こす奇跡を目の当たりにする
テレサの飼い主だと名乗る男が現れて
幼少時に父親から「オマエなんか生まれてこなければよかった!!」と
殴られつづける酷い虐待をされ、養護施設で育った介護犬訓練士の主人公。
虐待されて公園に捨てられた黒いレトリーバーのテレサに同じ傷を持つものとして
心を通わせ、必ず守ってやると約束する。
感想
父親からの虐待で、喪失感を持つ主人公と
飼い主からの虐待で人間を信じられなくなったレトリーバーの愛情が
ダイレクトに伝わってくる。途中で読むのを止められなくなって
一気に読んでしまった。生きる者の愛情を大切に思う。
どうでもいい命なんて何処にもないと思い知らされる本。
可哀想で、哀しくて、愛しくて泣いた。