2016年4月アルゼンチンにて行われる

目黒雅叙園で開催された。
ふたりのトップソムリエによる頂上決戦だ

その関心の高さに驚かされた。
世界を目指すソムリエ、
ひとりは、六本木マクシヴァンにて
オーナー兼シェフソムリエである佐藤陽一氏。
軽快でウィットに富んだトークで
マクシヴァン店内を佐藤イリュージョンで満たし、
魅了されるファンを多く持つソムリエだ。
そしてもうひとりは、
最近、最年少で東京マイスターを得た森覚氏。
若手と言われてきたが、
実直で堅実、確実にソムリエとしての歩を進めてきた森氏は、
年齢を感じさせない貫禄と実力を備えた
今やベテランのソムリエのひとり。
勝負は3回に分けられる。
それぞれに配点、合計点で高得点を出した一方が勝者、

まずは1戦目。
4種類のワインをテイスティングし、
それぞれのキャラクターを述べ、
名前、セパージュ、国、ヴィンテージを確定する。
制限時間12分。
その後続けて
6種のハードリカーをテイスティングし、
製品名、原料、生産国を特定する。
制限時間3分。
森氏は英語で、それぞれ行われた。
印象的だったのは話された言語でなく、
両ソムリエそれぞれの個性特徴がよく出ていたことだ。
佐藤氏は流暢なフランス語を操り、
ワインをテイスティング。
キャラクターを語り、次々とアイテムを特定していった。
対して森氏、
トゥールダルジャンからコンラッドへ転職し、
英語のスキルも磨いたという語彙の多さ。
ワインの外観、香り、スワリングした後の香り、
少し口にしたワインの味わい、口に馴染ませてから読む味わい。
詳細だ。
しかし、
4つ目のアイテムを特定する時間を持たず、制限時間が終了した。
結果は…、
佐藤氏104点、
森氏113点。
1戦目は、森氏に軍配が上がった。
続く2戦め。
「あなたはこのレストランのシェフソムリエです。
ふたつのテーブルをサービスしてください」
ひとつのテーブルには
日本ソムリエ協会会長岡氏を含み4人が着席。
もうひとつのテーブルには、
同会執行役員加茂氏および副会長荒井氏含み10人が座っている。
佐藤ソムリエ先行。
岡会長座るテーブルへ。
結婚記念という設定で、オーダーの赤ワインをサービス。
1983年のバンドール。
コルクはもろく、かけらをボトルに落とすというちょっとしたハプニングも。
グラスは風船型とエレガントなチューリップ型から、前者を選択。
難なく卒なくさらっとサービスを終了させる、
佐藤氏の身のこなしが栄える。
そして、もうひとつのテーブルへ。
設定は、同席ゲストの誕生日を祝うためにシャンパーニュをオーダー。
そして岡会長座るテーブルにも、
祝いを分かち合いたく同じシャンパーニュをサービスして欲しいという依頼だった。
ここはひとつのトラップか?
佐藤ソムリエは、ひとつのテーブルへのサービスが終了するまで、
もうひとつのテーブルには目もくれなかった。
「待たせすぎたのではないか?」
よぎる思惑。
依頼通りのサービスをこなす間に制限時間が終了した。
続いて、
森ソムリエ登壇。
同じ設定のため、岡会長が座るテーブルへ迷わず進んだ。
しかしその後が異なった。
森ソムリエは別テーブルへの配慮を欠かさなかった。
岡会長がオーダーした赤ワインの他に、
用意されていたシャンパーニュが目に入ったのだろう。
もうひとつのテーブルに
「後ほどうかがいます」(という主旨であろう言葉を)ひと言ふた言伝え、
ひとつめのテーブルへの、赤ワインのサービスをこなした。
そしてシャンパーニュサービス。
総勢14名全員に、同じグラスに注ぐことができなかったが、
結果は、
佐藤氏21点、
森氏35点。
配点をうかがい知ることはできないが、
前述の推測がこの結果に関係していることだろう。
こちらの回も、森氏に軍配が上がった。
最終3回戦めは、
マリアージュの提案と
クイズ形式の画像問題。
4人がテーブルに座っている。
そのひとりから本日のメニューを渡され、
そのひとりから本日のメニューを渡され、
それぞれのプレートにひとつひとつ、
ワインのマリアージュの提案をするように指示される。
条件はスィートワインであること、
そして、生産国をメニューの料理ごとに変えること。
また、同席の女性にはノンアルコールを提案する。
アルゼンチン大会を見越してだろう、
メニューはスペイン語圏の料理にみられる名前が並ぶ。
両ソムリエ、
それぞれに適したマリアージュを制限時間内に提案した。
そして最後は画像クイズ。
「写真を見て関連するワードを答えよ」
(↑ シャンパーニュ アンリオ当主 ジョセフ アンリオ氏)
10枚の写真。
制限時間は15秒。
人、オブジェ、ラベルのクローズアップ…。
様々なお題に、ふたりとも全問答えることはできなかった。
(↑アメリカの著名ワインエデュケーター カレン マックネイル氏)
すべての出題が終了。
結果発表までには、さほどの時間を要しなかった。
みんながいっせいにカメラを構える。
結果は
日本代表は森ソムリエに決まった。
出場切符を手に入れた石田博氏と、
日本人はふたりが世界大会という舞台で頂上を狙う。
知識、ホスピタリティ、センス、身のこなし、笑顔 …。
ソムリエに必要な要素は枚挙に遑がない。
日本が持つおもてなしの心も、そのひとつだろう。
世界を舞台に遺憾なく
すべてを発揮されてきて欲しいと、ただただ願う。
世界最優秀ソムリエは日本人だ、と
世界に言わしめるその日まで。