前回の続きです

 

シャントの腕のむくみの話の続きをしましょう

 

今回は腕全体がむくんでしまったら、どうしたら良い?というお話をします。

 

このようなむくみの大きな原因は、むくんでいる心臓側の血管に閉塞や狭窄があることです。

その場所によって専門的な治療を行うことになりますが、

読者の皆さんは患者さんや看護師さんを対象としていますので、透析室で取り急ぎどんな対応をした方が良いかを説明しましょう。

 

今回は上腕、すなわち肘から肩までが浮腫んでしまうお話しです。

 

ポイントは

透析後に浮腫が強くなりますか?

透析中に腕が痛くなりますか?

まさかシャントがペースメーカーと同じ側ではないですよね

シャントの流量を測定していますか?

肩のあたりの血管が目立ちませんか?

です。

 

私のところにコンサルといただいた場合、このような点をチェックした上で情報提供がくると、

『すごい透析室だな!デキるスタッフがいるに違いない』

なんて想像するわけです。

このように肩周囲の血管が膨らんできていたら要注意です!!

 

 

腕全体がむくんだ時にはシャント血管が肩や脇の下から心臓に近い部分で閉鎖してしまっている恐れがあります

図の右の状態ですね

 

前回お話ししたソアサムは一番左の状態です

上の図のように閉塞した場所によって浮腫む位置が違いますからおよその予想がつきます。

腕全体がむくんだ場合には要注意なのです

 

透析後に浮腫や痛みが生じる場合には、取り急ぎむくみのない場所に返血部位を変えましょう

 

腕全体がむくんでいたら反対の腕に返血してみましょう。

それで症状が出ない場合には、次に同じ腕で場所を変えてみます。

 

肘の外側や上腕の真ん中に穿刺していた時には、もし可能なら肘の内側の静脈に返血してみましょう。

この二つの効果で血管が狭い場所を探り当てることができます。

 

返血して症状が出ない場所を見つけたら、そこで透析を続けながらアクセスの専門医の診察や診断をゆっくり受ければ大丈夫です

 

 

 

 

透析をしていない時でもむくんでしまう場合は反対の手にVを返血しましょう

 

もはやシャントの流れだけでも、心臓に帰ることはできない状態のようです。

透析後のむくみより重症です。

 

特に心臓に近い完全閉塞に加えてシャントの流れが良すぎる人にこの症状が出やすいのです。

 

同じ腕へのVの返血は速やかに中止して、反対の腕に返血しましょう

 

この時に心臓に近い静脈が閉塞している可能性がありますから、安易に首から透析用のカテーテルを挿入してはいけません

先生が入れそうになったら注意を促してください。

 

 

可能超音波でシャントの流量を測定してもらいましょう

流量が2000以上ある場合には、流れ過ぎの影響も重なっています。

シャントの流れすぎがどうして悪いかは、またいつかここでお話しします

 

いずれにしても、

ここから先はアクセスの専門家に任せましょう。

 

少しだけ続きに触れると

一番心配するのは下の写真のように血管が完全に閉塞してしまっている場合です

この方は心臓にいく血管が白い点線の部分で閉塞しているため、シャントの流れ(矢印)は脳に逆流してから反対を通って心臓に帰っていたのです。

 

 

ペースメーカーを入れた時に注意

常識的な医者ならペースメーカーが入っている方の腕にシャントは作りません。

それは上と同じ状態になりやすいからです。

 

しかし、循環器内科の先生の中には、シャントがあろうが鎌わずに後からシャント側の鎖骨下からペースメーカーを入れて帰ってくるばあいがあります。

 

この場合は、あとから反対側にシャントを変更した方が良いのですが、浮腫が出現するまで放置されてしまったケースをよく見かけます。

 

ペースメーカーを入れた患者さん、シャントと同じ側に入っていた場合には注意ですよ!