私は自分を消してしまいたいと思ったことがある。

  全ての今までの写真を処分し、昔の思い出ごと捨てた。

  何が不服だったのかも分からない。特に不満はなかった。

  だが、すべてを消してしまうことは、不可能だ。

  それを、断捨離というのかもしれないが、

  私はただ、自分がいる痕跡すべてを消したかった。

  こんなことを書くと暗い、かわいそうな育ちの様に思うが、

  ごく平凡な家庭、友達にも割と囲まれて幸せだったと思う。

  ただ、私は自分を消したかった。

  

  そして私は、新たな私を作った。

  また、作り物の私がここにいる。

  どれが本当の私なのだろうか・・・

  ここには私がいるのだろうか・・・

  この想いは誰も知ることはない。

  あっけらかんと生きる様子で、誰も私を理解できない。

  差し障りない言葉のやり取りで試している。

  そうやって、何のために何度も何度も自分をやり直してるのか。

  こんなことを考えているとまるで、病んでいるように感じる。

 

  私は、近々死んでしまうと考えたことがある。

  死神の形のようなものを見てしまったからだ。

  目の錯覚だったと、今考えれば思える。

  どんなことをしても、死からは逃れられないと悟っていた。

  それは、あきらめではなく、より幸せを求めた。

  こんな気持ちは初めてだった。

  何も怖くなくなった。何でも出来る気がした。

  でも、死なないことでまた、弱い私に戻る。

  世界は綺麗には見えなかった。

  そして、私は今ここにいる。