全て、広太の手紙により明らかになった。
「妻が入院している病院に理香さんが勤めていました。
私は妻の余命を考えると、あいとこれからどう生きていくべきか、不安でたまりませんでした。
そんな時、理香さんを見かけ、愛してしまったのです。
交番に盗難の届けをしに来た時は、本当に偶然でした。
理香さんの全てが知りたくなり、非番を利用しながら調べまわりました。
前の旦那さんの事、不倫相手の事、全て調べあげました。」
全て、広太の手紙により明らかになった。
「妻が入院している病院に理香さんが勤めていました。
私は妻の余命を考えると、あいとこれからどう生きていくべきか、不安でたまりませんでした。
そんな時、理香さんを見かけ、愛してしまったのです。
交番に盗難の届けをしに来た時は、本当に偶然でした。
理香さんの全てが知りたくなり、非番を利用しながら調べまわりました。
前の旦那さんの事、不倫相手の事、全て調べあげました。」
今までの不可解な事件は、全て広太の手の中にあった。
理香のマウンテンバイクが、盗難事件にあったのは、広太の仕業ではなかった。
広太の鈴木刑事への手紙
「鈴木さん、全てこの手紙で告白します。
僕は刑事になるのが夢でした。
しかし、亡くなった妻や娘のあいのことで精一杯で、仕事にかけることができなくなり、いつの間にか理香を愛していたのです。
初めての出会いは、妻の病院でした・・・・。」
事情聴取されていた理香への追求が厳しくなっていた。
広太の所在は判明していなかったが、相棒の鈴木は、理香の聴取に立ち合っていた。
しかし、疑いはないと確信していた。
長年の刑事の直感だった。
直感は広太へ向けられていた。
あいは、絵を描いていた。
一生懸命描いてる姿を見て、松枝は微笑んだ。
ふと紙をのぞくと、そこには、あい、洋子、広太の三人が描かれていた。
松枝は、なんとも言えず、胸を締め付けられた。
「パパとママにもう、ずっと会ってないんだよ。パパもママもあいのこと忘れちゃったのかな?」
ふと、あいがそう言った。
松枝は、あいを抱きしめた。
涙を流しているのを気付かれないように・・・。
手紙を、ゆっくりと読んだ広太は、目を閉じた。
今、脳裏に浮かんだのは、妻洋子と娘あいとの幸せだった日々。
あの時に、戻れたらなんて幸せなんだろう。
なんとも思っていなかったあの頃の生活が、自分にとって
一番幸せな日々だったとは。
時すでに遅し・・・とは、よく言ったものだ。
涙が、めどもなく流れた。
テーブルの上には、すでに焼酎の空き瓶が散乱していた。
半分、意識の無 いような広太は、まだ飲めずにいた睡眠薬をしっかりと握り締めていた。
・・・ふと、毎日欠かさず目を通していた新聞を、今日は読んでいないことに気付き
ポストまで、ふらふらした足取りで新聞を取りに行った。
ストン!
松江からの手紙が、広太の足元に落ちた。
広太は突然心臓がドキドキ高鳴った。
もう、開封しなくとも、手紙の内容はわかっていたのだった。「拝啓 紅葉色づく季節になりましたね。
洋子の葬儀では、いろいろとお世話になりました。
主人も私も、少しずつ洋子の死に向かい合うことができるようになりました。
さて、今回お手紙で失礼させていただきますが・・・
実はあいのことで、ご相談があります。
これは、主人と私の勝手な考えであり、広太さんには、お気を悪くされないで欲しいのですが。
もし、可能であれば、あ いを私たち養子として、面倒をみたいと思っております。
突然、かつ失礼なお願いだとは重々承知しております。
この件につきまして、近々お話が出来ればと考えております。
広太さんの、都合の付く日にでも、こちらに出向いていただけないでしょうか。
敬具 広太様」
広太はまだ、ポストに一通の手紙が入っていることに気がついてなかった。
・・・松枝からである。
松枝は、考えていたことを、とうとう広太へ手紙としてしたためた。
あいを養女として迎える件だ。
最近のあいは、母親が居ないことをやっと理解し、
また、父親にも会えず、寂しさが限界に来ていた。
広太は亡き妻が服用していた睡眠薬を手に、冬の休日を家で独りで過ごしていた。
娘のあいが、気がかりで仕方なかった。
そして、遠くを見つめ、今までの事件を思い起こしていた。
あれは、妻の見舞いの時、理香を見かけたのだった。
すぐに一目惚れした。
「もう、全てがダメになるだろう。
あいとはもう会うことはないだろう。
俺も夢を持っていた。
全てが終わりだ。
鈴木さんにも、本当に申し訳が立たない。
洋子にも、もちろん。
おばあちゃん、そして理香、理香の家族、申し訳ない。
俺が全て責任を持つ。」