「共謀罪」が盛り込まれた組織的犯罪処罰法改正案が成立しようとしている今こそ読んでおきたい一冊。
平和警察と呼ばれる組織が「危険人物」と思われる人間を捕らえ、拷問の上、自白させる。そのほとんどが冤罪であるのに、大衆の前で斬首処刑するという、まさかの設定。凄く怖い話でちょっと引くが、伊坂さんの話ならきっと庶民的なヒーローが出てくるはずと、人間の残酷性や身勝手さだけがくっきり浮き彫りになる部分も我慢。そして現れる正義の味方!?一体、どうなっちゃうの?ということで一気読み。
正義の味方「大森鴎外君」と真壁の対決かと思いきや、えっ、その二人が死んでしまったわけ!と驚かされ、ほんとのヒーローがまさかの・・・・。
にしてもこんな世界が「普通」になったら絶対嫌だ。
★★★★★
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住人が相互に監視し、密告する。危険人物とされた人間はギロチンにかけられる―身に覚えがなくとも。交代制の「安全地区」と、そこに配置される「平和警察」。この制度が出来て以降、犯罪件数が減っているというが…。今年安全地区に選ばれた仙台でも、危険人物とされた人間が、ついに刑に処された。こんな暴挙が許されるのか?そのとき!全身黒ずくめで、謎の武器を操る「正義の味方」が、平和警察の前に立ちはだかる!