オリンピック高井戸店。知られざるヒット商品がある。SBの「おでんの素」、発売から45年たってもトップシェアを誇る。

文房具のコクヨ「鉛筆シャープ」も大ヒット驀進中。そして本日の主役シャルマンの軽いメガネ「ラインアート」。チタン製のフレームが軽くて・かけ心地がいいと大評判。

これを作っているのがメガネフレーム国内最大手のシャルマンだ。メガネ製造の工程を全て自社で行なっている。

通常は分業制で行なわれるが、全工程一貫して行なうのはシャルマンだけ。

国内のメガネの9割を製造する、福井県鯖江市。安い中国製の攻勢で苦戦を強いられ、多くのメーカーが廃業に追い込まれている。まさにジリ貧状態に追い込まれている国産メガネ業界。
そんなメガネ業界にあって1本4~6万円台という高級眼鏡フレームを作り、国内NO.1ブランドに君臨する企業がシャルマンだ。

工場を歩くのは79歳の実質的な創業者である堀川馨会長。

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1961年シャルマンの前身堀川製作所に入った。兄の始めた会社で下請けで’飾り鋲’を作っていた。堀川は、かつて下請けの部品メーカーに過ぎなかった小さな町工場を、業界の常識破り続ける「アウトサイダー経営」で飛躍させ、世界で戦えるトップメーカーに変えてみせたのだ!
13年がかりで一貫生産体制を構築し、カラーのフレームも日本で始めて手がけた。この時は役員が全員反対したため、自分でドイツに向かい色づけ技術を購入しようとした。しかし1億円と言われた。悩んだ末、そのノウハウを購入して帰った。

この色づけ技術がカラーフレームの大ヒットに繋がった。

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堀川「下請けは自分で何を造っているかわからない。安定しているけど。」

堀川「私は世界を相手にすることを目標にしていた。最初の反発はあったかも知れない。」

堀川「反対した社員も勝負がついたら’先見の明があった’と言ってくれている。」

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若者達にとってメガネはファッションアイテム。格安店で売られている5千円、7千円のメガネが当たり前。

中国で生産されている。メガネはここ数年で3割も下がった。

国内業界にも打撃を与え、鯖江市も廃業する会社も多い。

鯖江市にはメガネミュージアムという博物館もあるが、客が訪れることは珍しい。

そんなメガネ業界で生き残ったシャルマン。チタンの多田さんと呼ばれる多田さんは、「エクセレンスチタン」を8年掛かって開発。開発には会長からストップもかけられて、半年待ってくださいとお願いしたという。

もうひとつの技術は「溶接」、通常の溶接だと形状記憶の部分が壊れてしまう。

そこで開発したのがレーザーの中村さん。材質が劣化しないレーザー溶接技術を5年掛けて開発した。

ガマンの闘いに勝利してシャルマンは生き残った。

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堀川「グローバルで競争するには、圧倒的な差別化が必要。」

堀川「中国が日本を脅かす世界の工場になることは予測できた。だからこそ差別化を考えて圧倒的な付け心地を得ることができた。」

堀川「’経営’には幸運も必要。私は恵まれていた。問題意識を持って常に行動したことが幸運を呼び込んだという気もちょっとします。」

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シャルマンには『7人の侍』と呼ばれる、社内きってのクリエーターを集めた部署がある。
ここで働く侍たちは、自由な発想で「新しいモノ作り」を任され、実際、ヒットを連発しているという。
そんなシャルマンの頭脳とも言われる部署にカメラが潜入!
奇想天外なアイデアを生み出す開発集団に密着取材した。

設計の井上さんは飛行機の形をしたものがメガネになるものを製造。クモ形のフレームメガネなど試作品がいろいろ。

レゴのようなブロックメガネも試作中。自分で組み立てるメガネだ。

レゴブロックのようなパーツを結束バンドで留めていく。試作品はカラフルだ。「自由闊達で常識にとらわれない」シャルマンならではの商品開発だ。

ルートセールスの乾さん。店舗の陳列をどんどん変える。同じ種類のものにまとめたり、間引いたり。陳列を変えただけでも高級感が漂ったりして売り上げが伸びるという。

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朝8時に自宅を出て車を運転して会社に向かう。

すぐに打ち合わせ。チタン技術で医療機器の分野に進出している。
実際に医療現場でも使われ始め、シャルマンのハサミでくも膜を切る手術が行なわれた。手術を担当した福井大学の医師は「まず軽い。ステンレス製の半分の重さ。1本13万円。

この医療器具の開発で、鯖江市の西村金属にも発注。高い技術が要る。メガネの受注は減ったが、医療機器で連携し鯖江市全体の波及効果を狙う。

堀川「医療機器はどの国も同じものを使う。グローバル化しやすい。」

堀川「鯖江は車で20分ほどで全部の工場に行ける。横串を入れる役割を私が、わが社がやりたい。」

堀川「これまでは囲い込みをしていたが、これからはみんなで一緒にやっていくことを考える。」
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↓シャルマン堀川馨会長

生誕半世紀からの存在証明-堀川