若者が競って起業を目指し、新たな産業の担い手が次々に生まれるアメリカに比べ、起業文化が低いともいわれる日本…。村上龍は次のように指摘する。「起業がなぜすばらしいのかを論理的に説く言葉も未成熟だし、“大企業の正社員になる”よりも“有利で合理的な生き方”を、わたしたちの社会はいまだに示すことができていない」 と。
そんな中での注目の若手起業者を2名紹介。

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神奈川県大和市、郊外で人気の店。雑貨にギターにゴルフ用品に家電、さらに家具も衣料もある。価格が安い!タンスが4990円、スチームオーブンレンジも4990円。そうここはリサイクルショップ。名前はトレファク。

年商80億円のトレジャー・ファクトリーは、関東を中心にリサイクルショップを60店舗以上展開。業界の常識を破るユニークな商品管理で幅広い品揃えと、状態の良い品の大量買い取りを実現、客の圧倒的な満足度で、順調に業績を伸ばし続けている。
広くてキレイな店内は町の中のリサイクルッショップと異なる。店員も専門知識がある。9期連続増収増益を続けている。

リサイクル業界は決して安泰ではなく倒産する会社もある。

トレファク革命①・・・社長の野坂がテレビCMの撮影現場にいた。CMは中古品をトレファクに持ち込むというのが狙いのもの。

仕入れが命なので、一般家庭からの地道な買取とともに、家電量販店の展示処分品などを仕入れる。家具もモデルルームなどから仕入れる。

トレファク革命②・・・買取額が高い。他より高値で引き取ってくれる秘密はバーコード。単品をバーコードで管理している。

仕入れ値と経過日数を把握することにより、高値で仕入れて適正価格で売れる。

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野坂がリサイクルショップの起業を思い立ったのは15年前、まだ日本大学3年生の時。

当時アルバイトをしていた大手量販店では、家電を客先に配送する時、用済みになった家電を引き取って、業者に頼んで廃棄していた。中学生時代から「社長になりたい」と起業を考えていた野坂にとって、大量廃棄される家電、中古家具は宝の山に映った。

早速、野坂はリサイクル店を回って研究し始めた。でも「儲からないよ」と諭されるばかり。48件回った後に1995年に1号店を開店。

それから18年、社員を抱える企業となった。

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龍さん「何故起業したかったんですか?」

野坂「オヤジ越えをしたかった。商社マンでバイタリティのある人だったので、何かで越えたかった。」

野坂「景気の動向に左右されずらいのがリサイクル」

小池「汚くて埃をかぶっているイメージがあるが。」

野坂「欲しいものがすぐに捜せるようにしたかった。ユーザー視点で見ていくとキレイだったり、価格も適正だったりしたほうがいい。」

業績優秀店の表彰の飲み会。ファミリー感のある会社で若い人たちが付いてくる。

アウトドア用品売り場に力を入れた店は、近くのアウトドア専門店の客を呼び込もうとしたからで、こういった現場の都合で店舗ごとに力を入れる商品類が違う。

幕張店は売り上げトップだが、野球用品はダントツの売り上げだ。

店長の岩本さん、食器などの販売が伸び悩んでいたので、買取を上げるために古伊万里の皿を展示した。

野坂「現場への権限委譲を大事にしている。一時期はカチッと決めてやっていたが、社員も育ってきて、そこで現場に任せるようになった。」

野坂「起業して一定の規模に乗せるには’変換力’が必要。」

野坂「ショップがそこにあるから住みたいと思ってもらえるような店にしたい。」

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東京青山のちょっと変わった店。実はここ、トヨタのレクサスを世界に発信するアンテナショップ。

ここにセレクトショップのように置かれている商品がある。

パイプ1本を曲げて作られたデスクライト「STROKE(ストローク)」は、4万円という高価格にも関わらず1年半で1500台以上を売り上げるヒット商品となった。その斬新なデザインはグッドデザイン賞も受賞。

4本も買った男性に聞いてみると「インテリアとしてもいいし目が疲れない。」

この製品のオフィスは小田原市にある。「ひとり家電メーカー」として知られるビーサイズがそこ。社長は八木啓太。

2011年創業のベンチャー企業。社員は3人。1月までは八木さん一人でやっていた。第1弾製品となった設計、デザイン、組み立てから発送まで、八木ひとりでこなしてきたビーサイズは、メーカーズ革命の旗手として様々なメディアから注目されている。
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いったいどうやってひとりで作り上げたのか?

①設計はCADを使う。今では無料でダウンロードできる。

②部品つくり。CADで作った設計図を3Dプリンターで商品化。LEDは電子部品会社から調達。

③電子基板の製造。これもネットで注文し、郵送で届く。

③曲げてくれる工場。近所の工場に依頼。

こうして製品が出来上がった。

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高校生の頃、八木は自宅にあったアップルのパソコン「iMac」に触発され、ジョブズのように「カッコいい電子機器をいつか自分の手で」と考えていた。

そこで八木が起業するためにとった行動は用意周到で驚くべきものだった。大学で電子工学を学び、富士フィルムでも学び、デザインは独学した。

第2弾の商品は飛騨高山の家具工場で作られている。

量産を請け負うのは秋田県の町工場。電子回路の細かい検討が行なわれ、八木自ら造り方を指導。

モバイル端末を置くだけで充電できる製品だ。

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スタジオにその充電器が登場。19900円の新製品だ。もちろんSTROKEも登場。龍さんその場でお買い上げ!

八木「現場で肌感覚で’できる’と思った。」

八木「ひとりとはいえ、チームをどうやって作るかが重要。」

八木「個人が家電を作っていくようなことがだんだん出来てくる。大手とは競合せずにいける。」

小池「ライトが売れなかったら、どうしてました?」

八木「また他の企業に就職すればいいかなと思ってました。」

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起業を決めたのはあのジョブスの一言だった。今日が自分の最後の日なら何をしたいか?

八木「今日が自分の最後の日なら、会社に行かずに自分で何かを造りたい。」と思った。

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↓トレジャー・ファクトリー社長 野坂英吾41歳&ビーサイズ代表 八木啓太 30歳

生誕半世紀からの存在証明-カンブリア