有名旅館について街角アンケート。やはり・・・、33年連続日本一の宿!
石川県の七尾湾に面する和倉温泉。この小さな温泉街にそびえるのが、巨大温泉旅館・加賀屋だ。明治39年創業、年間利用客数はグループで29万人にのぼり、最上位クラスの部屋だと1泊2食付き5万円も当たり前という価格に、平日でも客が殺到する。
この巨大温泉旅館。ぶち抜きのロビー、おみやげ物や屋も風情がある。ショーもスケールがでかい。

1泊5万円の場合、アワビにウニなどが夕食に並ぶ。高額にもかかわらず80%の客室利用率だ。

加賀屋の人気を支えるのは、客に圧倒的な満足感を与える独自のおもてなしだ。到着から出発まで同じ客室係が担当し、かゆい所に手が届く接客は感動的ですらある。

・ガムテープ持参でゴミをチェック。

・午後3時に到着すると、巨大な加賀友禅に目を奪われる。

・部屋に入ると和倉湾の絶景。そこに抹茶が振舞われる。

・浴衣は客の身長・サイズに合わせてピッタリしたものを用意。

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・客の利用頻度から、食事の好み、アレルギーなどの情報を共有

・還暦のお客には赤いチャンチャンコを用意

・客室係が客へのサービスに専念できるよう、料理を運ぶ手間なくす全自動システムまで導入。4億円かけたシステムだ。

・客室係りは朝の見送りに駅まで行って見送る。

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加賀屋の創業は1906年(明治39年)。3代目の小田禎彦会長の祖父母が部屋数わずか12室の温泉旅館として始めた。

小池「33年日本一というのは、どういうこと?」

小田「4つの基準があって、点数が多かったのがわたしども加賀屋です。」

龍さん「料理を運ぶシステムを考えたのは」

小田「若い従業員が辞めていく理由だったので、何とかしたかった。」

旅館はピーク時の3分の一に減った。では何故加賀屋は生き残っていられるのか?

加賀屋が日本一と呼ばれる礎を築いたのが、小田の両親である2代目の與之正、孝夫妻だ。

女将・孝は、客の出迎えに寝坊するというひとつの失敗をきっかけに一念発起。現在の加賀屋流おもてなしを作り上げた。

小田は鉄筋の巨大な客室も他に先駆けて建築した。

小田「新参者なので、新機軸を出さないと生き残れなかった。」

龍さん「巨大な加賀友禅のアイディアは?」

小田「アメリカのアトランタのマリオットなどを見て吹き抜けの装飾を考えた。」

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毎朝のお見送りに必ず姿を見せるのが女将の真弓。日課は「お部屋回り、ささいな会話から満足度をはかる。膨大な数の部屋を若女将と手分けして行なう。

その原点は母の孝だった。伝説の女将と言われるが、あるひとつの失敗から始まった。

和倉に分泊するという時に現場に行くのが寝過ごして遅れた。大目玉をくらい、客を通した部屋の灰皿に吸殻が残っていて、「こんな旅館に泊まれるか」と叱られた。このときの失敗からおもてなしを徹底していくようになった。

加賀屋では現在も「失敗から学ぶ」ことを徹底、年間2万5千通の客からのアンケートを元に、様々な改善活動を続けている。

毎年25000通からひとつずつつぶしていく。

失敗を繰り返さないために、子育て中の従業員のための保育園、学童保育もずいぶん前からつくっている。

夜10時近くになると次々と子供を引き取りに来る従業員。安心して働けると大好評だ。

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スタジオに輪島塗の鯛の器が。伝説の女将「孝」が客に喜んでもらおうと出したものだという。

小田「一人残らず迎えて、見送ってしまわないとご飯がおいしくないという人だった。」

龍さん「孝さんは客をガッカリさせるのが嫌だったんだと思う。」

小田「そのあたりの教えが大事に伝承されているんじゃないかな。」

小田「’正確’で’ホスピタリティ’があればおもてなしといえるのでは。」

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台湾台北市から車で30分、北浜温泉地に加賀屋は2010年に進出。90室の温泉旅館を開業し、現在その経営も軌道に乗り始めている。

加賀屋の台湾戦略の最大の特徴は、日本の加賀屋と同様に“客室係による丁寧な接客”を基本としたおもてなし。

開業前に現地スタッフへの徹底的な研修を施した。

そんな日本式のおもてなしが話題を呼び、日本の加賀屋を訪れる台湾人が急増。相乗効果で北陸の観光地に賑わいが広がっている。

黒部ダムなどを訪問する台湾人も増え、地元の祭りに海外からの観光客も増えてきた。

小田「都会の方や外国の方に新しい発見をしてもらえば。」

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小池「他の海外進出も考えていらっしゃいますか?」

小田「台湾も本格軌道に乗せてからですが、アジア各国から引き合いがあります。」

小田「日本の旅館が世界に羽ばたいて欲しいし、“おもてなし”は世界へ売れるもの。」

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編集後記・・・加賀屋の接客には隙が無く、しかも嘘がない。真実のおもてなし。

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↓小田禎彦会長

生誕半世紀からの存在証明-カンブリア