今の彼氏と別れなければ・・・


今の彼氏と付き合って10ヶ月。3ヶ月半フタマタ。


あたしは、愛人生活を選んだ。


『ごめん。もう一緒にいれない。』


何度もこの言葉を言うチャンスを逃した。


今の彼氏も仕事が忙しい人で、もう3週間会ってなかった。


あたしから連絡もしなくなっていた。


これ以上、ずるずるいくのは嫌なのでとりあえずメールをした。


『話あるから会える日ないかな?』


即レスで『話ってなに?別れ話なら会わないよ。』と。



あたしはなんだかほっとした。


『ごめん。本当にごめん。今までありがとう。』


こんなに簡単に別れられる恋愛もあるんだ。


いや、彼からしたら簡単ではなかったのかもしれないけど、

やりとりはいたってシンプルで簡単なものだった。


それから彼からの返事はなかった。



次の日、いつものように不倫相手がいる職場に行く。


会社では社長と事務員さん。


他の従業員には気付かれないように普通に普通に業務をこなす。


不倫ってバレないんだろうか?


バレない不倫ってあるんだろうか?


よくわからなくなってきたので今日は寝よう。




彼の自宅は片道車で1時間。


飲んだ日は必ずビジネスホテルに泊まるという。


『奥さん何にも言わないの?』


『飲酒運転になっちゃうからさー。ホテル泊まったほうがラクだし。』


そっか。。。


あたしは心のどこかで『一緒に来る?』という言葉を待っていた。


彼は誘わなかった。


一人タクシーに乗せられて、1万円札を渡された。


『じゃあ。。。』



あたしは罪悪感でいっぱいだった。


大好きな彼氏がいるのにモトカレに動揺していた。



社長と事務員。モトカレとモトカノ。



これが最大の関係でこれ以上はないと思っていた。



罪悪感さえ生まれなければ・・・。



タクシーに乗ってすぐにカレからメールがきた。


『俺、結婚してるけどやり直せないかな?』


あたしは罪悪感の涙をこらえながら携帯の電源をおとした。




次の日、会社で二人っきりになった。


話はあたしからふった。


『愛人になってもいいよ。』


彼は下を向いて笑っていた。


『愛人って言うなよ・・・。』



この日から愛人生活が始まった。


罪悪感から生まれた復縁。


5年前の償い。


何もできないけど、もうこの人を悲しませたくないと思った。


あの日、振り切った気持ちを繋ぎ合わせるように記憶を辿った。



不倫は何も生まない。何も生まれない。二人においては。



そうわかっていても、またこの人を深く愛せるようになれればいいと思った。


奥さんやお子さんには申し訳ないと思ってても。


止められなかった。



だって社長だもん。


愛人の一人くらいいても・・・。



あたしの愛人生活。



あたしは今の彼氏と別れる口実を考え始めた。


こんなあたしでもやっぱり愛人と二股はできないと思った。


大好きな彼氏だけど、それよりももっと大きな何かがあたしの中にあった。



やっぱり罪悪感だ。



それを今の彼氏には感じなかった。



もう彼に恋愛感情を抱くことはないという自信があった。


彼と別れて5年。


その間、2人の人と付き合った。


彼のことはいい思い出になっていた。というか忘れていた。


あたしには大好きな彼氏がいたから。




『事務員さんが今月で辞めちゃうんだ。お前、働きに来れない?』


風の便りで彼が独立したことは知っていたけど。



突然の連絡に戸惑いながらもゆっくり話を聞こうと、彼とご飯に行くことにした。


彼が結婚したこと。去年子供が産まれたこと。あたしの付き合ってる彼氏のこと。


今だから話せるいろんな話をした。なんの違和感もなく2人とも話していた。



<一緒に働いても大丈夫>

<お互い知り尽くしているから仕事もうまくいく>


そう思った。再会しても感情は全く乱れなかった。


やっといい関係になれたんだ。



入社して一ヵ月後、歓迎会をしてくれた。



その帰り、2人で飲み直すことにした。


『一緒に働きだしてどう?』


『毎日仕事を覚えるのに必死だよ。』


『俺、お前に未練残したまま結婚したから、

毎日一緒にいるようになって昔の感情を思い出したよ。。。』



そんなこと、イ・ワ・レ・テ・モ・・・。



ふと、彼を見ると涙ぐんでいた。涙をこらえていた。



その時初めて彼の苦しみがわかったような気がした。



毎週毎週手紙を届けにきてくれてたこと。


何度も何度もやり直したいと伝えてくれてたこと。


そんな彼を拒否し続けたこと。



彼はずっと苦しかったんだ。


苦しかったんだ。。。



いつもは強く社長業をこなしている彼とは別人だった。


自分がまさか不倫をするとは思ってもいなかった。


彼との出会いは8年前。


当時、彼は23歳。あたし21歳。


ケンカしながらも3年ほど付き合っていた。


今、思い返せば当時は若かったのか、よくぶつかり合っていた。

そして、今、思い返せば一番深く恋愛をし、一番愛していた人だった。


7年前、地元の不動産会社で彼は働いていた。

仕事が終わり真っ先に彼の家に行く。一年のうち300日は行っていた。


すごく束縛する彼だった。会ってない時間があると不安がる彼だったので

ほぼ毎日、彼の家で過ごしていた。


彼の束縛やあたしのわがままでよくケンカした。


何度も別れてはやり直しの繰り返しで、それでもお互い大好きで3年も一緒にいた。

一緒に笑って、一緒に泣いて、一緒にバカやって。

大切な思い出もたくさんできた。


そんな生活の中、別れがやってきた。


彼と別れるなんて全く想像もしていなかったし、一緒にいることが当たり前になっていた。


本当に大好きな彼でした。


でも、別れを切り出したのはあたしの方でした。


彼のことが好きすぎて、自分を見失っていました。

完全に依存して、彼なしでは生きていけないとまで思い始めて

自分のやるべきことがあっても、彼の生活に合わせてしまう自分が

キライでキライで、その生活から抜け出したくて逃げました。


<このままではあたしダメになる>


あの時のあたしはどこにいたのだろうか。


毎日毎日泣きながら朝を迎えていました。


彼からの連絡もすべて拒否しはじめました。


<電話に出たいけど、出たくない>

<会いたいけど、会えない>


『やり直したい。』と何度言われても拒み続け、それでも彼は諦めずに

毎週切手の貼っていない手紙がポストに入っていました。

それから半年ほど手紙が来ていたでしょうか。


<やり直したい>


この言葉を何度も何度も押し殺して。

結局、最後まで言えないまま。。。


そして、1年ほど経った。


あたしももう泣かなくなっていた。

彼ももう手紙を持ってこなくなった。


これであたしたちは終わったのです。


あれから5年。


彼はあたしと別れて2年後、不動産の仕事を独立していた。

そして結婚もしていた。


『事務員さんが急に今月で辞めることになったからお前、働きに来れない?』


そして、半年前に再会した。


一緒に働くようになった。


社長と事務員。モトカレとモトカノ。



・・・続く。