堀越次郎という人を、今まで知らなかった。
ゼロ戦の技術力の高さを、今まで知らなかった。
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機関銃さえついていなければ、赤い丸さえ描かれていなければ、
一度乗ってみたいし、欲しいとさえ思った。
美しい輪郭、シルエット。薄板、軽量のジュラルミン製の機体。
日常で乗るのなら、防弾板も防弾ガラスもいらないから、ちょうどよい。
燃費も良く、小回りも利き、速度も速い。
スペックについてはほぼ全く知らないが、
車に例えると、S2000やロードスターのような印象を受けた。
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でもそれは戦闘機だった。
重い機関銃を背負わされ、
「赤い丸」というデザイン性の皆無な画を書かれていた。
剛性は低いくせにロールバーはなく、キャタピラのついた後輪。
砂漠迷彩のカラーリング。
そんなS2000やロードスターは、私は要らない。
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それらはエアロパーツではない。
他人を殺すことを専門とするウエイトだ。
ただでさえ邪魔なのに、余計な機能まで付いているんだ。
取り払うこともできない。
そのパッケージングが、標準装備だから。
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それにさらに、大型爆弾をくくりつけてみた。
敵艦に突っ込めば、うまくいけば一撃で沈没させることができるんだよ。
ま、自分は肉片、棺桶は金属片になるんだけどねw
…冗談じゃない。
鉄砲の弾一撃と、特攻の一撃では、どれだけ違うのか。
軍の幹部ってやつらは、分かっていたのだろうか。
船越次郎は、
そんなことのために美しい機体に仕上げたんじゃない。
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最近では、トヨタが同じような境遇になった。
ハイラックスの荷台は、機関銃や兵士を載せるエリアではない。
強靭なボディは、弾丸に向かうためでもない。
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良すぎるモノは悪戯に使われる。
その悪戯がまた、良すぎる技術を産んだりもする。
良いものを創ることが使命の技術者は、それをやめれば食ってはゆけぬ。
しかし、それが悪の連鎖ともいえない。
戦災地に復興支援を行うのもまた、ハイラックスなのだから。
過去の悲惨を伝えるのが、ゼロ戦なのだから。
その機体の美しさを知ってしまった、私だから。