「ドイツ人が語るドイツ現代史：アデナウアーからメルケル、ショルツまで」（2023年5月刊行ミネルヴァ書房)Dominik Geppert, Geschichte der Bundesrepublik Deutschland, C.H.Beck, 2021

　アデナウアーの「西側統合」、ブラントの「新東方外交」、コールの「ドイツ統一と欧州統合」、シュレーダーの「アジェンダ２０１０」。第二次大戦後、歴代ドイツ首相の政策と歴史的事件を見ると、ヨーロッパで、どの年代にどんな社会問題がありどんな解決がされてきたかを概観することができます。

　メルケル首相在任の時は、世界金融制度の崩壊、ユーロ危機、難民問題への対応を迫られました。ショルツ現首相の今は、エネルギー問題が深刻です。ドイツの経済発展はラインマイン地域にある化学工業に典型的なエネルギー集中消費型の産業に拠るところが大きいのですが、民間利用の脱原発を目指しているため、再生可能エネルギーの供給が増大しない限りエネルギー不足が解決できません。エネルギー政策でロシアへ大きく依存しているだけでなく、安全保障政策におけるアメリカへの依存、経済面で中国との関係に密接に組み込まれていることなども課題です。

　他にも課題は山積みで、ドイツ連邦政府やドイツ連邦議会のHPを閲覧すると今議論されていることが掲載されていて有益です。

連邦政府 Bundesregierung

https://www.bundesregierung.de/breg-de

連邦議会 Deutscher Bundestag

https://www.bundestag.de/

「ドイツ人が語るドイツ現代史：アデナウアーからメルケル、ショルツまで」（2023年5月刊行)