私の学校に転校生が来ました。私達が知らない遠い国からの転校生で、テレビも冷蔵庫め知らないばかりか電気すら知らない子です。私達は早くその子が学校やここの暮らしに慣れる為に色々教えました。横断歩道の渡り方、物を買う時にはお金が必要な事、そのお金を得る方法も教えました。



ある日、テレビの事について聞かれました。私はしばらく考え、こう言いました。







「テレビっていうのは、わたしから見たら夢を運んでくれる箱かな?テレビはボタン一つで物語が始まってそこから笑ったり泣いたり怒ったりするんだ。他にもわたしたちはテレビで流れる事でこの世界…いや地球を知る事が出来るんだよ。もしかしたらアナタが住んでいた国もこのテレビに映ったかもしれないわ。わたしたちの生活はこの箱中心に回ってると言っていいわ。きっとアナタもテレビで沢山の夢を見るわ。沢山の夢を見て、みんな大きくなるの。でもこの箱を見るには『デンキ』が必要でその『デンキ』を得るために地球が少し汚れたりしたけど、最近のデンキは自然の力を借りて作ったりしてるよ。みんな色々考えて、作ったものなんだよ。テレビもみんなに夢を運ぶために作られたんだ。今度、いっぱいわたしたちと夢を見ようね。遠い国から来たアナタを歓迎してくれるわ。」









私はまだ子供だし難しい事は分からない。テレビが何でボタン一つで絵が映る事や何でテレビが作られたかなんて分からない。それにそんな理屈聞いたって誰もそれをまともに聞かないと思う。私もきっとそう。皆でテレビを見て、笑って、泣いて、怒って…新しい世界をつくるのだから…




夢を運ぶ箱は、遠い異国の国からやって来た王子様にも夢を運んだ。




終わり
ボクはあの時、夢でも見てたのだろうか?未だに自分に起きた出来事が信じられなかった。


あれは夏休みに入ってすぐ友達の家に行った帰り道、ボクは何を思ったがいつも通る道ではなく普段通らない別の道から帰ろうと考えた。この気まぐれが全ての始まりだった。

いつもと違う道でちゃんと帰れるだろうか?という不安はなぜかなかった。ただ進んで行く内に『この先に何かある』という確信があった。いくつかの角を曲がった時だ。何か小さい小屋が一件ぽつんと立っているのが目に止まった。


見た目からして昔、お婆ちゃんの田舎で見た駄菓子屋という店みたいだが看板の文字が読みづらい。後から分かったのだけどこの看板の文字は右から読むらしい。左から読むのが当たり前なボクには暗号みたいに見えた。


駄菓子屋の中には一人のお婆さんがいた。ボクのお婆ちゃんと同じ白い頭で腰が曲がっていたが目は優しそうでこっちまで優しい気持ちになれそうな目をしていた。

あと少しで店を閉めるところだったがお婆さんが『せっかく来たのだから少しお話しましょう』と言って特別サービスとして二つに折れるアイスを片方割り、自分に渡してくれた。店の入口前にある長イスに座り、お婆さんと色んな話をした。日が暮れてお父さんとお母さんが帰りが遅いと心配すると思い、アイスを食べ終わった後、お婆さんにはまた明日来るという約束をしてボクは帰っていった。




それから夏休みの間は、駄菓子屋によく来る様になった。昔の遊びを教わったりラムネの上手な開け方なんかも教えてもらった。ベーコマ、めんこ、けん玉、ビー玉、竹馬、竹トンボなど…テレビゲームやトレーディングカードゲーム以外でもこんなに楽しい遊びがあったなんて僕の世界はまだまだせまくて分からないものばかりなんだと落ち込む反面、まだ知らない世界を見るのがとても楽しみになった。



夏休み最後の日、明日から学校が始まり、店には当分来られないかもとお婆さんに言ったらこう答えた。



「大丈夫、私はずっとここにいるよ。また遊びたくなったらいつでもおいで」


また明日も会うみたいな形で別れ、ボクは店から出た。



学校が始まり、お婆さんさんの事が気になり土日の休みの日店に行ってみた。夏の間、通い慣れた道だから間違える訳がなかった。ボクが見たものは何もない空き地だけがそこにあっ。辺りを見回してもそれらしき建物もなく、どこを探しても見つからなかった。確かにそこにあったのにあって当たり前と思ってたものが急になくなったボクは頭の中が真っ白になっていた。



家に帰り、昔からこの町に住んでいるボクのお父さんから駄菓子屋の事を聞いたらその店のお婆さんは既に病気でなくなり、店の方もお婆さんがなくなった後に壊してしまったのだった。



次の日、ボクはまた駄菓子屋があった空き地に来ていた。何もない誰もいない静かな空き地にしばらく立って見つめていた。お婆さんと過ごした日々を思い出しながらボクは静かに泣いた。もうここで過ごした日々が戻らないと分かったからだ。どんなに楽しくてもどんなに笑っていてもいつかはその時間さえもなくなってしまう。それが思い出として残せるんだ。


ボクがお婆さんを忘れなければボクの中にお婆さんは生きている。会いたくなってもお婆さんと過ごした思い出があるからまた会える。










大丈夫だよ、ここにいるよ。だからお婆さん、また明日…明日また会いに行くよ。



終わり
皆さん、初めまして。ゆえと申します。



短い詩や簡単な童話を考えるのが好きでこの度、アメーバーさんからブログを拝借してこちらで書いてみる事にしました。



暇つぶしとして鑑賞するのもよし。何か疲れたり悩んだりした時に見るのもよし。下らないし滑稽なものばかりかもしれませんか、長い人生の中での軽い寄り道だと思って立ち寄って下さい。



これから宜しくお願い致します。



ゆえ