下調べはバッチリ。

デートコースも3つほど考えてある。

 

 

あとは智くんと行くだけ。

早く智くんと・・・

 

 

って思ってんのに、

 

 

副部長、

マジで鬼か!

 

 

いくら今年最後の練習だからって、

気合入れ過ぎじゃね?

 

 

短縮マジで無しじゃん。

逆に30分も延長してんじゃんか!

 

 

部長は俺なんだけど?

勝手に仕切るなよ。

 

 

・・・え?

俺だよね?

何締めの挨拶までしてんの?

 

 

「・・・櫻井、なんかある?」

 

 

お!一応、

振ってくれるのね。

 

 

「ない!休みだからって

羽目外しすぎんなよ」

 

 

「・・・お前がな」

 

 

智くんのことをチラッと見て、

ボソッと呟く副部長。

どっと笑いが起きる。

 

 

副部長め。

・・・まあいっか。

最後の挨拶をして、やっと部活が終わった。

 

 

さあ!今からが本番!

 

 

マネージャーの智くんは、

最後に着替えをする。

着替えが終わり、部室の鍵を返し終わった智くんが、

俺のとこに走ってくる。

 

 

「翔くん、お待たせ。

今日はどこ行くの?もうプラン考えてるんでしょ?」

 

 

「え?なんで?」

 

 

「ん?副部長さんがね、さっき、

『あいつ気合入ってるみたいですよ!

きっと何個もプラン立てるんじゃないかな?』って。

流石の翔くんでも、何個もって、そんなことないよね」

 

 

余計なことを。

 

 

「・・・3つほど」

 

 

「え?マジか!翔くんすごい!

楽しみだな〜。全部翔くんに任せるね」

 

 

そんな可愛い笑顔で、

全部俺に任せるなんて言わないで。

プランそっちのけで、今すぐ押し倒したくなるじゃん。

 

 

クリスマスの野郎の頭の中なんて、

そんなことで一杯なんだから。

 

 

「・・・翔くん?」

 

 

いかんいかん!

いきなり押し倒すのはいかん!

 

 

今回のデートの目的は、

智くんとイルミネーション見に行くこと!!

そして、ケーキ食べて、プレゼントを買いに行くんだ。

 

 

落ち着け俺。

 

 

「ええっと・・・行こうか。

とりあえず隣駅に」

 

 

さりげなく智くんの手をとる。

手を繋いで行こうとすると、

 

 

「え?」

 

 

智くんが立ち止まる。

 

 

「・・・だめ?」

 

 

「・・・だめ・・・じゃないけど、

でも・・・制服だし・・・」

 

 

恥ずかしそうに俯くのが可愛い。

智くんがドキドキしてるのが分かる。

 

 

「大丈夫。

誰も見てないよ。

俺、智くんと手を繋ぎたい」

 

 

だってデートだし。

 

 

「・・・・・」

 

 

「・・・だめ?」

 

 

「・・・いい・・・ょ」

 

 

「翔ちゃん!今帰り?

あ、大野さんも?え?あっ!今からデート?」

 

 

「わああ!相葉くん!

え!ニノも?」

 

 

ドン!!!

 

 

「わ!」

 

 

突然現れた相葉くんにびっくりした智くんが、

俺のことを相葉くんの方に突き飛ばし、

早歩きで駅方向に進んでく。

 

 

「え?わ!え?

俺、翔ちゃんはいらない。

え?ちょ!大野さん??」

 

 

「俺もお前いらないわ!

絶対今、『いいよ』って言ってたのに!!

お前のせいだぞ!バカ!

智くん!!待って!!置いていかないで〜〜

智く〜〜〜〜ん!!!」

 

 

「え?え?

俺が悪いの?」

 

 

「・・・でしょうな」