「あれ?・・・おかしいな」

 

 

「ん〜?どうしたの?智くん」

 

 

「みんなにあげようと思って、

この間たくさん作っておいたんだけどな。

どこに入れたっけ?翔くん知らない?」

 

 

「ん?何を?」

 

 

「おいらの作ったカレー」

 

 

冷凍庫をゴソゴソ漁る智くん。

智くんのカレーの行方を知ってるけど、

シラを切る。

 

 

「え〜?知らないな。

そんなにたくさん作ったの?」

 

 

「うん。3人にあげようと思って、

タッパに分けて入れておいたんだけど・・・」

 

 

「間違えてお母さんにあげちゃったんじゃない?」

 

 

「え〜〜、そうなのかな?

この前来た時に渡したっけ?」

 

 

「じゃない?

だって3つも無くなるはずないでしょ?」

 

 

「・・・う〜ん、そうかな。

じゃあまた作ろうかな?」

 

 

「うん、それがいいよ。

あ、俺も手伝う!一緒に作ろう」

 

 

「いいね!じゃあ、おいらが具材を切るから、

翔くんは炒める係ね!」

 

 

「了解!飲むよね?お酒の準備する〜」

 

 

「ん!美味しいの作って、

みんなにあげようっと。ずっとあげるって言ったのに、

何でかいつも無くなってるんだよな〜」

 

 

・・・だろうね。

だって、智くんのカレーは全部俺が食ってるから!

 

 

智くんのかーちゃんが持って帰るのはいい。

智くんのかーちゃんだし!

 

 

けど・・・あの3人には・・・

 

 

あげなくていいんじゃないかな?

 

 

智くんのカレーは俺が全部食うからさ。

3人にあげるなんてもったいない!

 

 

智くんの作ったものは俺のもの。

智くんの全部は俺のもの!

 

 

その唇も全部。

 

 

「ねえ、こっち向いて」

 

 

「ん〜?んんっ!・・・え?」

 

 

頂き物のワインを口に含み、

智くんに口移しで飲ませる。

 

 

「だって智くんの手、忙しそうだから。

どう・・・美味しい?」

 

 

「・・・ん〜、びっくりして味わかんなかった」

 

 

「じゃあ、もっと飲む?」

 

 

「ん、ちょうだい」

 

 

さっきより多めに、

智くんの口に流し込む。

 

 

「んっ・・・あっ・・」

 

 

「もう、こぼしちゃだめじゃん」

 

 

「ちがっ、だってさっきより量が・・・んあっ」

 

 

智くんの唇からこぼれたワインを、

舌で舐めとる。

 

 

「・・・ん、どうしたの?

手が止まってるよ?」

 

 

「だってしょおくんが、エロいことするから・・・」

 

 

「エロいこと?ワインを飲ませてあげただけだよ?

・・・もしかして、その気になっちゃったとか?」

 

 

「ち、ちがう・・・し」

 

 

「違わないでしょ?その気にさせるために飲ませたんだし」

 

 

「・・・え?」

 

 

「カレーもいいけど、

俺、智くんが食べたくなった。

・・・食べたいんだけど、食べていい?」

 

 

「・・・ずるい。

そんな顔して、そんな声・・・」

 

 

「ふふ、それはいいってことだね。

では、いただきます」

 

 

「あんっ・・・こ、ここ・・・で?」

 

 

「・・・あ、智くんはカレー作ってていいよ。

俺勝手に智くん堪能するから」

 

 

「そんなの・・・やだ・・・食べるならちゃんと・・・」

 

 

「了解!じゃあ、ベットに行こうね」

 

 

「・・・ん」

 

 

「いっぱい食べてあげるから、

覚悟しててね」

 

 

「・・・もうしょおくんの・・・ばかっ」

 

 

それ、大好きって意味だよね。

 

 

ああ、今夜も貴方と・・・

2人だけの秘密の時間。

 

 

 

 

 

 

智くんの全部、

余すとこなく俺が食べる。

誰にもやらないよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

おしまい♡