『智くんのイったあとの顔、すげ、可愛いんだよ。

もっと見せて・・・

 

『ねえ、手、どかして』

 

『キスしたい』

 

 

/////

 

 

 

あの時、

お母さんと弟くんが帰ってきてくれてよかった。

翔くんって、

本当にさ・・・ずるいんだよ。

 

 

あの声で言われたら、

何も言えなくなっちゃう。

 

 

ダメだってわかってるのに、

おいら・・・ドキドキして、その気にさせられちゃう。

 

 

したくなっちゃうんだ。

 

 

帰ってこなかったら、

どうなってたかな?

 

 

『さとしおにいちゃん』

 

 

翔くんの弟くん、

本当に可愛かったな〜。

 

 

小学2年生って言ってたかな?

 

 

翔くんに似て、

目が大きくてすごく可愛かった。

 

 

プリンが好きって言ってたから、

今度買って持って行こうかな?

 

 

「なんだ、部室にいないと思ったら、

こんなとこにいたんだ」

 

 

そんなことを思いながら、

ドリンクを片付けていたら、

後ろからシャッター音がして、

振り返るとニノがいた。

 

 

「あ、ニノ?

あれ?言ってなかったっけ?」

 

 

「・・・聞いた・・・っけか?」

 

 

「ちゃんと言ったよ。

期間限定でサッカー部のマネージャーするって」

 

 

「・・・そうだったかな。

ふふ、似合ってますね。

その部T、櫻井さんのですか?」

 

 

「え?あ、うん。

わかる?ちょっと大っきんだけど」

 

 

「俺のもんだ!としっかり主張するあたり、

さすが櫻井さん」

 

 

「え?」

 

 

「顔真っ赤ですけど、

昨日の、色々を思い出してた?

櫻井さんちに行ったんでしょ?」

 

 

「え?・・・なんでわかるの?」

 

 

「分かりますよ。

あなた方、色々分かりやすいから。

良かったですね・・・2回目したんでしょ!」

 

 

「え?ニノ!なんで・・・/////」

 

 

「やっぱりそうなんだ。

カマかけてみただけなんですけど」

 

 

ニマニマと嫌な笑みを浮かべるニノ。

 

 

しまった。

マジか!カマかけた?

しっかりハマってしまった。

 

 

何か、別の話題・・・

 

 

「っていうか、なんで写真撮るの?

いつもより長くない?」

 

 

「へ?そこ気にします?

いつも撮ってるでしょ?

あ、これ以上突っ込まれたくない?」

 

 

「に、ニノ!!!!!」

 

 

ああもう、全部お見通し。

 

 

「・・・卒業制作ですよ。

そろそろね、本腰入れて準備しないと間に合わないので」

 

 

「卒業制作?」

 

 

「はい、取れるもんは取っとかないとね。

色々ね。大野さんは気にしなくて大丈夫ですので」

 

 

「ふ〜ん。

なんかよくわからないけど、まあいっか」

 

 

「大野さんのそういうとこ大好きですよ」

 

 

「・・・なんだって?

誰が誰を大好きだって?

事と場合によってはニノくんでも容赦しないよ?」

 

 

後ろから、

ぎゅっと抱きしめられた。

 

 

「え?わ、翔くん」

 

 

その様子も、

カメラに収めるニノ。

 

 

「あらあら、もうナイトがお出ましだ」

 

 

「・・・・・」

 

 

「ちがっ!翔くん誤解だよ。

ニノは卒業制作の写真を撮ってて・・・

ほら、ニノも説明して」

 

 

「・・・卒業制作?」

 

 

「櫻井さんちょっと」

 

 

「ん?」

 

 

ニノが翔くんを手招きする。

翔くんがニノのとこに。

 

 

「実は・・・」

 

 

ニノが翔くんに耳打ち。

一体何を話してる?

 

 

眉間にしわを寄せていた翔くんの表情が、

次第に明るくなっていく。

 

 

明るくっていうか・・・デレデレ?

 

 

ニノ何を言ったの?

 

 

「・・・そういうことなら問題なし!

大いにやって。

どんどんやって♡」

 

 

・・・何?

怖いんだけど?

 

 

「はい、では遠慮なく。

今日の分を撮れましたので、

後日また」

 

 

「了解です!」

 

 

ええっと?

あれ?2人ってそんな仲よかったっけ?

 

 

「・・・何か企んでるの?」

 

 

「え?そ、そんなことない!

卒業制作に協力するだけ!

やましいことなんて何も・・・」

 

 

あるんだな。

 

 

「ちがっ!智くん、違うからね!!」

 

 

「・・・あ、副部長さ〜ん、

教えて欲しいことがあるんだけど、

スコアブックのここなんだけど・・・」

 

 

「え?そんなの、

副部長の聞かなくても、

俺が教えてあげるよ、ねえ、智くん、待って〜〜〜〜」