『智くんのイったあとの顔、すげ、可愛いんだよ。
もっと見せて・・・
『ねえ、手、どかして』
『キスしたい』
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あの時、
お母さんと弟くんが帰ってきてくれてよかった。
翔くんって、
本当にさ・・・ずるいんだよ。
あの声で言われたら、
何も言えなくなっちゃう。
ダメだってわかってるのに、
おいら・・・ドキドキして、その気にさせられちゃう。
したくなっちゃうんだ。
帰ってこなかったら、
どうなってたかな?
『さとしおにいちゃん』
翔くんの弟くん、
本当に可愛かったな〜。
小学2年生って言ってたかな?
翔くんに似て、
目が大きくてすごく可愛かった。
プリンが好きって言ってたから、
今度買って持って行こうかな?
「なんだ、部室にいないと思ったら、
こんなとこにいたんだ」
そんなことを思いながら、
ドリンクを片付けていたら、
後ろからシャッター音がして、
振り返るとニノがいた。
「あ、ニノ?
あれ?言ってなかったっけ?」
「・・・聞いた・・・っけか?」
「ちゃんと言ったよ。
期間限定でサッカー部のマネージャーするって」
「・・・そうだったかな。
ふふ、似合ってますね。
その部T、櫻井さんのですか?」
「え?あ、うん。
わかる?ちょっと大っきんだけど」
「俺のもんだ!としっかり主張するあたり、
さすが櫻井さん」
「え?」
「顔真っ赤ですけど、
昨日の、色々を思い出してた?
櫻井さんちに行ったんでしょ?」
「え?・・・なんでわかるの?」
「分かりますよ。
あなた方、色々分かりやすいから。
良かったですね・・・2回目したんでしょ!」
「え?ニノ!なんで・・・/////」
「やっぱりそうなんだ。
カマかけてみただけなんですけど」
ニマニマと嫌な笑みを浮かべるニノ。
しまった。
マジか!カマかけた?
しっかりハマってしまった。
何か、別の話題・・・
「っていうか、なんで写真撮るの?
いつもより長くない?」
「へ?そこ気にします?
いつも撮ってるでしょ?
あ、これ以上突っ込まれたくない?」
「に、ニノ!!!!!」
ああもう、全部お見通し。
「・・・卒業制作ですよ。
そろそろね、本腰入れて準備しないと間に合わないので」
「卒業制作?」
「はい、取れるもんは取っとかないとね。
色々ね。大野さんは気にしなくて大丈夫ですので」
「ふ〜ん。
なんかよくわからないけど、まあいっか」
「大野さんのそういうとこ大好きですよ」
「・・・なんだって?
誰が誰を大好きだって?
事と場合によってはニノくんでも容赦しないよ?」
後ろから、
ぎゅっと抱きしめられた。
「え?わ、翔くん」
その様子も、
カメラに収めるニノ。
「あらあら、もうナイトがお出ましだ」
「・・・・・」
「ちがっ!翔くん誤解だよ。
ニノは卒業制作の写真を撮ってて・・・
ほら、ニノも説明して」
「・・・卒業制作?」
「櫻井さんちょっと」
「ん?」
ニノが翔くんを手招きする。
翔くんがニノのとこに。
「実は・・・」
ニノが翔くんに耳打ち。
一体何を話してる?
眉間にしわを寄せていた翔くんの表情が、
次第に明るくなっていく。
明るくっていうか・・・デレデレ?
ニノ何を言ったの?
「・・・そういうことなら問題なし!
大いにやって。
どんどんやって♡」
・・・何?
怖いんだけど?
「はい、では遠慮なく。
今日の分を撮れましたので、
後日また」
「了解です!」
ええっと?
あれ?2人ってそんな仲よかったっけ?
「・・・何か企んでるの?」
「え?そ、そんなことない!
卒業制作に協力するだけ!
やましいことなんて何も・・・」
あるんだな。
「ちがっ!智くん、違うからね!!」
「・・・あ、副部長さ〜ん、
教えて欲しいことがあるんだけど、
スコアブックのここなんだけど・・・」
「え?そんなの、
副部長の聞かなくても、
俺が教えてあげるよ、ねえ、智くん、待って〜〜〜〜」