夜空に綺麗な花火が打ち上がった。

 

 

周りから歓声が上がる。

 

 

けど・・・

今は花火より・・・

 

 

智くんに会えたら、

言いたいことがいっぱいあった。

聞きたいこともたくさん。

 

 

そう思っていたのに、

それよりも先に、

 

 

智くんを抱きしめていた。

強く強く抱きしめていた。

 

 

智くんの香り・・・

 

 

変わっていない。

 

 

俺の智くん!!

 

 

 

 

 

「・・・あ、あの・・・翔くん?」

 

 

「・・・・・」

 

 

「ねえ、翔くん、ちょっと・・・」

 

 

「・・・・・」

 

 

「あ、みんなが・・・ねぇ翔くんってば」

 

 

「みんな俺らのことなんて見てないよ。

だってみんな花火を見にきてるんだから!

前にそう言ったのは智くんだよ」

 

 

「・・・ねえ、翔くん、離して」

 

 

「・・・やだ、離したら、

智くんがいなくなっちゃう」

 

 

「いなくならないし」

 

 

「だって・・・」

 

 

「・・・離してくれないと、

叫べないじゃん」

 

 

・・・ん?

叫ぶ?

 

 

「この花火大会の恒例の・・・

翔くん、忘れちゃったの?」

 

 

恒例?・・・あっ!

 

 

「もう、乗り遅れちゃったじゃん!

みんなもう叫んでるよ」

 

 

智くんから身体を離すと、

にっこり笑った智くんが、

俺と手を繋いで、花火を指差す。

 

 

「んふふ、次大きいの上がったらいうからね。

いい?翔くん!」

 

 

「あ、う、うん!」

 

 

「あ・・・・きた!

いくよ、翔くん!!せーの!」

 

 

 

 

「「や〜〜まや〜〜〜〜!」」