ホッとしたら今度はある疑問が湧いてきた。

 

 

後輩くんは架空の人物。

 

 

後輩くんの話は楽屋でしてたよね?

ってことは、メンバーも知ってたんだよね。

ってことは、智くんとメンバーはグルってことだよね。

 

 

なんでそんな手の込んだ・・・

 

 

「・・・ねぇ、なんで嘘ついたの?」

 

 

「・・・・・」

 

 

「智くん?」

 

 

「・・・無理させてるかもって思って」

 

 

「え?」

 

 

「おいらがはじめたことだけど・・・さ、

本当はさ・・・本当の本当は嫌なのかもって思ってさ」

 

 

「何?なんのこと?」

 

 

「・・・おいらに抱かれること」

 

 

「は?」

 

 

何?今更何言ってんの?

 

 

「男同士だから、どっちにもいけるけど、

なるべくして今の形になったじゃん。

それを年に一度だけとはいえ、逆転するのはさ・・・」

 

 

「俺、そんな嫌そうに見えた?

俺、そんな顔してた?」

 

 

「やってる時は、超気持ち良さそうにしてる。

あの顔は反則。おいら止まんなくなる」

 

 

ぶっっは!!

改めて言われると・・・

めっちゃ恥ずかしいんですけど!!

 

 

「そ、そんなふうに思ってるのに、

じゃあなんで?」

 

 

「バレンタインからホワイトデーにかけての一ヶ月の、

翔くんの緊張具合っていうか、ビビリ具合っていうか・・・

なんか見てて、申し訳なくなって・・・」

 

 

・・・ああ、それについては否定できないかも。

 

 

「で、ニノに聞いたんだ。

『ニノは相葉ちゃんのこと抱きたくならないの?』って」

 

 

は?誰に聞いたって?

何を聞いたって?

 

 

「おいらの質問には答えてくれなかったけど、

翔くんは本当はどう思っているか、

確かめてみればいいって、で、相葉ちゃんと松潤も手伝ってくれて、

ああいう話に・・・」

 

 

「・・・・・」

 

 

ああああ・・・

なんでニノに聞いちゃったの?

直接俺に聞いてくれればよかったのに〜〜〜

 

 

「・・・架空の後輩の設定と、明日の夕方の嘘の約束を考えたのはニノ。

『翔さんは絶対ダメだって言うはずです。だって翔さんと先に約束してるんだから。

翔さんにとっても誰にも邪魔されたくない大事な日のはず。

でも、もし・・・いいよって言ったら、

もしかしたら翔さんは・・・

翔さんの返事を聞けば、大野さんの不安解消するんじゃないですか?』って」

 

 

え?ってことは?

 

 

「確かにいつもの翔くんなら、

絶対ダメって言うと思った。

だから試す・・・っていうか、ニノの話に乗った。

翔くんがどっちの返事をしてもいいように、

ニノはその後の設定も考えてくれてて・・・」

 

 

え?え?

ってことは?

 

 

「なのに翔くんの答えは『いいよ』だった」

 

 

「だ、だって、あの流れでは・・・」

 

 

「ああっと思って、

そのあとは、もうニノに言われてた通り、演技した」

 

 

うわああ!

あれは変なこと考えず、

ダメ!!断って!!で良かったのか〜〜〜

数時間前の自分が憎い!!

 

 

「で、さっきの」

 

 

「あっ・・・」

 

 

「『1日早いけど、どうせ やっ てる う ちに、

14日になるし。ホワイトデーは俺を 抱 く 日でなんでしょ?

ほら、早く 抱 いてよ』

あんな冷たい言葉で、

あんななげやりに自分を抱けって・・・。

もういいやと思って、もうやめようっと思って。」

 

 

「ち、ちがう!

あれは頭に血が上って・・・

ただただその架空の後輩くんに嫉妬しただけなんだよ〜〜〜」

 

 

「・・・うん。

さっきちゃんと言ってくれて嬉しかった。

おいらも頭に血が上って、変な態度とっちゃってごめん。

試すようなことして・・・ごめん」

 

 

「・・・智くん」

 

 

「え、ええっと・・・、

とりあえず、おいら、もう出るわ。

翔くんはちゃんと服脱いで風呂入り直して、

風邪引く」

 

 

「え?でも、智くんまだ途中でしょ?」

 

 

「・・・そ、そうだけど、

今、翔くんと一緒にいるのはやばい」

 

 

「え?」

 

 

「服が濡れるのって、

色々透けてて・・・やばいね」

 

 

「誤解が解けた途端であれなんだけどさ、

もともとその気だったからさ、

なんていうか、その・・・

翔くんのことをさ・・・」

 

 

「・・・いいよ。

食べて。智くんがそう思うのは、俺だけなんでしょ?

据え膳ですよ?」

 

 

「・・・んふふ、翔くんだから食べるんだからね!」

 

 

「望むところだ!」