「・・・え?なんで?」

 

 

「ん?なんで?なんかおかしなこと言った?

『俺の首に手を回して』って言っただけだよ?」

 

 

「く、首に手を回せって/////

な、なんで?」

 

 

え?そんな恥ずかしいこと?

でもそうしてくれないとバランスがさ・・・

 

 

「なんでって、だって立ち上がれないでしょ?

じゃあ、いいよ、このままでも」

 

 

「え?わっ!ちょ!!うわああっ」

 

 

智くんの背面から腕を回し、もう片方の腕を膝の下に差し入れ、

智くんを持ち上げると、慌てた智くんが、ぎゅっと俺に抱きついてきた。

 

 

「ほらね。こっちの方が安全でしょ?」

 

 

「/////」

 

 

「ん?何?」

 

 

「・・・そ、そういうことか。

普通に、『抱き上げるから、掴まれ』って言ってくれれば・・・」

 

 

「ん?なんか変な想像してたの?」

 

 

「・・・し!してないし!!」

 

 

真っ赤な顔して、

必死に首を振る智くん。

 

 

・・・してたな。

 

 

ああもう!

なんでこんな可愛いの?

可愛すぎるんですけどぉぉ〜〜〜

 

 

「・・・今日家誰もいなくて本当に良かった」

 

 

「え?」

 

 

「こんな可愛い智くん、誰にも見せれない。

俺が独占できて良かった!」

 

 

「ば、バカなこと言うな!!

おいら可愛くないし!」

 

 

「バカなことなど言っておりません。

勝手に変な想像して真っ赤になって、

可愛い以外の言葉で表現できません!」

 

 

「うっさい!」

 

 

「怒っても可愛い♡

キスしていい?」

 

 

「わっ、ちょっ・・・んっ!」

 

 

ほらやっぱり可愛い。

もう一回キスしちゃえ。

 

 

「んっ!ば、ばかぁ、じ、自分で歩く。おろして」

 

 

「だめ!大人しくして。

暴れたら危ないでしょ」

 

 

そんなことをしているうちの、

浴室についた。

 

 

智くんをおろして、

智くんのパジャマに手を伸ばす。

 

 

「・・・じ、自分で脱げるし。

本当に一緒に・・・入るの?」

 

 

「何今更恥ずかしがってんの?

さっき全部見たでしょ?お互いの身体、

なんならもっと恥ずかしいとこだって」

 

 

「わーわーわー!言うなってば!」

 

 

「はい!じゃあ早く脱いでください。

俺先入ってるよ」

 

 

なんて言いながら、

緊張してるのは多分俺の方。

 

 

だって・・・ね。

見えていたと言っても、

さっきは常夜灯のもと。

 

 

今は・・・さっきより断然明るい光の中。

 

 

智くんのあれもこれもの全部はっきり見えちゃう。

それらが見えて、俺・・・我慢できるか?

出来ないだろう、出来るわけがない!

 

 

でも、今日はもう絶対にダメ!

これ以上の負担は・・・。

 

 

もう絶対にしない。

そうだよ!智くんの身体を見ないようにすればいいんだ。

 

 

・・・何が良いアイディアないか?

お!いいのがあるじゃん!

母さんのこれ!これなら見えないかも!!

 

 

智くんが入ってくる前に、

見つけたそれをお湯に入れる。

 

 

「・・・お、お邪魔します。

・・・え?なんで?」

 

 

「ん?何かおかしい?」

 

 

極力智くんの身体を見ないように、

視線を外す。

 

 

「なんでお湯の色、ピンク色なの?」

 

 

「え?ん?あっ!」

 

 

しまった。

これ、白色じゃないの?

ボトルが白だから、てっきりお湯の色も白かと!

 

 

よく見ると、バラのイラストが書いてある。

バラ色(ミルキーピンク)、バラの香りの入浴剤。

 

 

「は!母の!!

母のお気に入りなんだ!

マジだからね!俺のじゃない!!

そういう趣味はないから!!」

 

 

「・・・・・」

 

 

「透明のままだと、

いろいろ見えて恥ずかしいかと思って、

いつも入れない入浴剤を入れただけだから!」

 

 

「・・・・・」

 

 

「ああもう!洗います!そこに座ってください!!」

 

 

「・・・は〜い」