『ただの・・・やきもち!』
翔くんが、おいらと町田の関係を疑って、
こんな可愛いことを言うから、
ついうっかり・・・
可愛さに負けてキスしちゃった。
学校なのに。
自分の行動に自分でびっくりして、
恥ずかしくて・・・
翔くんの顔が見れなくて、
仕事に集中しよう。
あれ?
翔くんも必要以上に話しかけてこない。
もしかして、人前でキス禁止って言った張本人のおいらが、
したから怒った?
ちらっと翔くんの顔を盗み見する。
翔くんは・・・
びっくりするほど、
デレデレした顔をしていた。
もうばか!余計に恥ずかしい!!
お互い会話のないまま、
文化祭が終わり、
片付けののち、後夜祭が始まった。
後夜祭も生徒会主催。
メインはカラオケ大会&未成年の主張大会。
秘密も暴露する人もいれば、
中には想いを告白する人もいる。
毎年3年の生徒会長がトップバッターで歌うことになってる。
なので、岡田がマイクをとってステージ上へ。
ってことは、
来年のトップバッターは現生徒会長の翔くん。
・・・残念だな、
今年で卒業のおいらは、来年ここにはいない。
翔くんの歌聴きたかった。
岡田の選曲は、
今流行りのみんなで踊れるJポップ。
自分で歌うより、みんなを煽って歌わせてる。
さすがというか、
らしいというか。
ああいうとこ本当にすごい。
おいらには無理だもん。
「大ちゃんここにいたの?やっと見つけたぁ」
「ん?相葉ちゃん?
どうしたの?マイクなんか持って」
「うひゃひゃ、もうすぐ分かるよ」
「え?」
岡田の歌が終わり、
歓声と拍手がなり響く。
おいらも慌てて拍手を送る。
相葉ちゃんが飛び上がって、
誰かに合図を送ってる?
そして・・・
「大野智〜〜〜〜〜〜!!!」
「へ?」
岡田がおいらの名前を呼んだ。
あれ?おいらの声も響いてる?
見ると相葉ちゃんがおいらの口元にマイクを当ててる。
相葉ちゃんがおいらを探していたのはそういうことか。
「あいつに飽きたらいつでも俺のとこに戻ってこいよ!」
俺の元にって・・・
「ば!バカ!誤解を招くようなこと言うな!
その言い方じゃ、お前と何かあったみたいじゃんか!」
思わず叫んでた。
「・・・なかったか?」
「ないわ!」
「本当におかしいわ。
付き合いが長い俺でなく、
あいつとあんなことでキスするなんて・・・」
「え?さっき見てたの?」
「え?さっき?マジでしたの?
どっちから?まさかお前から?」
「そりゃおいら・・・」
「ちょ!大ちゃん!!」
はっ!しまった!!
相葉ちゃんの声で、
状況を把握する。おいら注目集めてる。
でももう遅い。
ほぼほぼ言ったも同然。
もうこうなったら・・・
「うっせー!したかったからしたの!
それのどこが悪い!!」
体育館内が、
歓声?悲鳴?怒号?
とりあえずすごいことになった。
けど、本当のことだから仕方ない。
だって、翔くんはおいらの恋人だもん!
「お!開き直った。
お〜い、相葉〜」
「え?あ、は、はい」
おいらに向けてたマイクを、
自分に向け直す相葉ちゃん。
「このあとの進行頼むな。
ここから先、この生徒会長、使い物にならねーぞ?」
岡田が舞台袖を指差す。
もしかしてあそこに翔くんがいる?
「うひゃひゃ!
でしょうね。
心得ております!」