「・・・え?消えた?」
「・・・消えたね、さとしくん。
消えたっていうか、光に包まれて吸い込まれたって言うか・・・」
「・・・うん」
「さとしくんも妖精さんだったってことかな?
びっくりしたよ。
このイチョウの木が扉?みたいな感じ?」
「うん。
妖精さんも言ってたじゃん。
『精霊さんに聞いて』って、
木の精霊さんがさとしくんをいろんな世界に導いているのかも」
「・・・いろんな世界?」
「うん。いろんな世界に散らばってるのかも。
さとしくんの探してる『さとしょうりょこうしゃ』に行くヒントが」
「なるほど。
それにしても可愛かったね〜。
さとちくん!!あんなに可愛いんだもん。
そりゃ妖精さんももっと一緒にいたくなっちゃうよね!」
「うんうん!」
「さとしくんが帰っちゃったら、
妖精さんも消えちゃったよね?一緒に行ったのかな?」
「どうだろうね?
でも多分、見えなくなっただけで、
妖精さんは近くにいるんじゃないかな?」
「え?」
「さとしくんからもらったお花のクッキー、
多分さ、あれの効果が切れて見えなくなっただけだと思うんだ」
「じゃあ、まだ翔くんの肩にしがみついてる?
滑ったら危ないから気をつけてよ!」
見えないけど、
翔くんの肩に向かって声をかける。
「智くん!!」
「あははは!冗談冗談!!
でも翔くんだって、妖精さんに謝ってたじゃん!」
「それは智くんがいうからだろ!!」
「あはははは!」
「もう笑うなってば!」
「さとしくん、ちゃんと探し出せるといいね」
さとしくんが包まれたイチョウの木の幹を、
そっと触れる。
おいらもお世話になってたこのイチョウの木。
どうか、さとしくんを無事に送り届けてね。
「智くん、この木のしたでよく寝てたよね」
「・・・覚えてるの?」
「覚えてるよ。
智くんを探すとき、
まずは一番にここを見に来てたもん」
「そうだったの?」
「本当にさ、無防備すぎんだよ。智くんはさ!
どこでも寄りかかって昼寝しちゃうんだもん」
まあ確かに、
木にもたれかかって寝てたかも。
だって気持ちいいんだもん。
あの頃のように、
イチョウの木の下で座る。
「そうそれ!!
さっきの子達も可愛かったけど、
ここで寝てる智くんは、あの子たちに負けない妖精・・・
いや!天使みたいだった!!」
「よ、妖精って・・・
天使とか恥ずかしい!!
他のやつと一緒だったよ。
どっちかと言ったら、ダメ学生だったもん」
よくそのまま眠りこけて授業サボって怒られたよな。
先生には。
「何言ってんの?
そう思ってるの智くんだけだからね!
争奪戦だったんだよ。あの当時は」
「ふぇ?」
「智くんの隣、
死守すんの大変だったんだからね!
次々とライバルが現れるんだから!
蹴散らすのに必死」
おいらの隣を死守?
蹴散らす?
そういえば、翔くんはいつもおいらのそばにいた。
「智くん今ももちろんだけど、
学生の時めっちゃ可愛かったんだから!!
もうその辺の女子よりも全然!!」
「女子より?あはは。
それこそ何言ってんの?
そんなわけない」
「あるよ!!」
「え?」
「智くんは可愛かったの。
びっくりした。最初に会った時。
びっくりしたんだよ、マジで。
自分が一目惚れするなんて、
思ってなかったんからさ」
「・・・え?」
うわあ、ダメだ〜〜
終わらない〜〜〜
毎度毎度ごめんなさい!
続きは明日