「は〜、食った食った!
もう食えんわ〜〜」
「すごいね、翔くん。
自分の分食べて、おいらの分も・・・ごめんね」
全部食べきれず、
翔くんに残ったの食べてもらった。
「いや、最初は食えんと思ってたけど、
意外といけるね。俺もまだまだ若いわ!
さあて、行こっか」
「次はどこ行くの?翔くん」
「ふふ、飯食った後は・・・?」
「昼寝!!」
「・・・違うよ」
「へ?あ、んふふ中庭?」
おいらも楽しくなってきた。
食器を返し、食堂を出る。
この高校は、
緑が多い・・・気がする。
昔からある学校だからかな?
校庭、中庭、大きな木が多いから、
いい感じの影ができてて、
そこに寝転がって寝るのが気持ちいいんだよな〜
まだ残ってるかな、
あの木。
てくてくてく・・・
ん?
え?
今・・・
今ちっちゃな子が通り過ぎた?
中庭をウロウロしてる。
あれ?気のせいじゃない・・・よね?
「し、翔くん、あのさ・・・」
「うん。子供がいるね」
「だよね。
やっぱり見間違いじゃないよね?」
真っ白なフワフワジャンパーを着て、
淡い空色の肩掛け鞄と、
水筒をかけた小さな男の子。
肩掛け紐が胸の所で交差してる。
可愛い。
ん?
誰かと話してる?
声が聞こえる。
けど、一人しかいない・・・よね?
独り言言ってる?のかな?
「・・・迷子かな?」
「え?迷子?」
大変だ!!
翔くんがその子の前に、
しゃがんで声をかけた。
「こんにちは。
こんなところでどうしたの?
お名前言える?」
「え?あっ、はい!
さとちといいましゅ」
「ん?さとちくん?」
「ちがいましゅ!さとちでしゅ」
・・・さとち?
あ、もしかして!!
翔くんの隣にしゃがんでその子に話しかける。
「さとしくん?」
「そうでしゅ!さとちでしゅ」
「おいらと同じだ。
おいらも智って言うんだ。
一緒の名前だね、さとしくん」
「え?おにいちゃんもさとちなの?」
嬉しそうににっこり笑うさとしくん。
「うん。
さとしくんはこんなとこでどうしたの?」
「『さとしょうりょこうしゃ』をさがちてるの」
「「『さとしょうりょこうしゃ』??」」
「はい!
で、そこにいるようせいさんたちにきいちぇるんだけど、
なかなかおちえてくれなくちぇ。」
「ようせいさん?」
「はい!
いま、ひとりおにいちゃんのかたにのっちぇる」
「え?」
かたにのってる?
おいらの?
「へ?智くんの肩に妖精が乗ってるの?」
「そっちのおにいちゃんのかたにものっちぇるよ」
「翔くんの肩にも?
大丈夫?滑り落ちてない?」
「ちょ!智くん??」
「あはは!たちかに。
ひっちでつかまっちぇる」
「マジで!!ごめん、妖精くん!
見えてないけど!」
あはは、
そこ謝るんだ。
「え?おにいちゃんたち、
ようせいしゃん、みえないんでしゅか」
「・・・うん。ごめん」
普通は見えないよ。
小さい子は見えるものなの?
おいら、小さい時見えたかな?
「そうなんだ・・・」
さとしくんがすごく残念そうな顔をする。
なんか申し訳ないな。
「あ!ちょっとまっちぇください。
たちか、これ・・・」
さとしくんが何かを思い出したようで、
カバンの中を探り出した。
「ん?」「え?」