・・・もうなんで翔くんって、
あんなに元気なんだろう。
そりゃさぁ、
翔くんとさぁ、するのはさぁ、
・・・好きだけどさぁ/////
そりゃそうでしょ。
だって好きだもん。
翔くんのことが。
好きだから、触れたくなるでしょ?
触れたら・・・ね。
欲しくなる。
おいらだってそう思うよ。
でも!!
それにしたって、
やり過ぎじゃね?おいらたちもうアラフォーよ?
そんですぐにキスしようとするしさ。
翔くんはずるいんだよ。
もう無理って言ってんのに、
『・・・智くん』
あの声で名前を呼ばれるとさ・・・
ダメって言えなくなっちゃう。
1年前、
不思議な黒猫に出会った。
猫語で喋って、
怒り出すと関西弁になる変なやつ。
だけど、あの黒猫のおかげで、
思いがけず翔くんと再会した。
本当に夢みたい。
会えただけでも嬉しいのに、
想い通じ合うなんて・・・
翔くんもおいらを好きだったなんて。
戻ってから最初に会う約束をした日は、
本当に緊張したな。
学生の頃に戻ったみたい。
デートの前夜、ドキドキして寝れなくて。
黒猫にあったことも、豪華列車に乗ったことさえも夢だったんじゃないかと。
何度も翔くんにラインしちゃってさ。
当日も約束の時間より早く家を出た。
そしたらほぼほぼ同じ時間に、
翔くんも現れて、
『『なんで?1時間前だよ?』』
二人同時に同じこと言って・・・
笑ったよね。
あれは本当にびっくりした。
想いが通じ合ってから、
時間があれば、一緒にいる。
今までの空白を埋めるかのように。
最近は週末お互いの家で過ごす。
自分の家にも、
翔くんの家にも、
それぞれのもの、お揃いのものが増えてる。
翔くんが翔くんの家用に、
買ってくれてたペアカップ、
自分も見つけたから、
こっそり買っておいたら、
速攻見つかるし。
照れ臭くて、
買ったのは店員さんのせいにしたけど、
きっとバレてるだろうな。
なんかこそばゆい。
アラフォーのおっさん同士で何やってんだか。
でもそれも楽しい。
楽しんだけど・・・
分かってるのかな?
結構辛いんだぞ。おいらもさ。
週末翔くんの家に泊まって、
仕事に行く月曜日は特に。
逆の時も。
今朝だってそう。
あと5分翔くんの香りに包まれていたかった。
もっとって思っちゃうじゃんか。
もっと一緒にいたいって。
言ってしまいそうになるじゃんか。
『一緒に住まない?』ってさ。
一緒に住むイコール・・・ってことなんだけど、
もう言ってもいいかな?
そろそろ言ってもいいかな?
まだ早い?
それとも遅いくらい?
付き合いだして1年。
二人の記念日に、
言ってみようか。
そうだよ!
記念日!お祝いだ!
お祝いしなきゃ。
どっかに飯食いに行って、
お祝いケーキとか食べちゃう?
そんでそのあと・・・
うん。ちゃんと言いたい。
店に詳しい後輩にオススメ聞いてみよう。
あ、翔くんの予定確認しておいたほうがいいな。
平日だしな。
そんなことを考えながら仕事してたら、
翔くんからラインが来た。
『翔』
翔くんの名前を見ただけで、
心踊る。
いい歳したおっさんがとも思うけど、
そんな自分も嫌いじゃない。
でもどうしたんだろう?
仕事中にラインなんて珍しいじゃん。
タップすると・・・
『智くん、急で申し訳ない。
26日なんだけどさ、休み取れない?』
ん?
え?
・・・休みを取れ?