『何時にこっちに着く?

迎えに行くよ』

 

 

「マジで?

ありがとう!到着時間は・・・」

 

 

出発前に、智くんとメールのやり取り。

不安よりも期待が勝る。

 

 

あと数時間で智くんに会える♪

愛しの智くんに♪

 

 

智くんに会ったら・・・

 

 

まずは抱きしめたい。

向こうはこっちよりも寛大?

男同士が抱き合ってても、気にしないよな。

 

 

めっちゃ注目されても、

やっぱり抱きしめるでしょ!

 

 

だって、愛しの恋人との3ヶ月ぶりの再会!!

 

 

迎えに来てくれるってことは、

智くんも休みってことかな?

 

 

荷物を部屋に置いたら、

智くんと・・・一緒にいられるかな?

 

 

でも、先に、智くんの家の行き方も教えて欲しいな。

部屋が荷物まみれで寝れないから、

智くん家に泊めてって流れもいいかも。

 

 

言っとくけど、それを見越して、

大量に荷物を送ったわけじゃないからね!

 

 

うん。たまたま。

っていうか、俺的にはだいぶ絞った!

 

 

部屋の片付けももちろんするけど、

まずは智くんと恋人な時間を味わいたい。

 

 

仕事に必要なものはスーツケースに入ってるし、

少しの間、智くんの家に居候・・・ってものいいな。

 

 

少しの時間も無駄にしたくない。

できるだけ一緒にいたい。

 

 

智くんとのあれこれを想像してたら、

長旅のはずの飛行機の旅があっという間だった。

 

 

智くんの存在は偉大だ!

 

 

荷物を受け取り、

智くんを探す。

 

 

あれ?あそこにいるのって・・・

 

 

間違いない!

あの猫背の背中は絶対!!

 

 

「智くん!!」

 

 

俺の声に振り返る。

 

 

「翔く・・・」

 

 

俺を見つけて万遍の笑顔・・・

 

 

が、

 

 

一瞬で曇った。

 

 

「え?えっと・・・智くん?」

 

 

恐る恐る智くんに近づく。

 

 

「・・・荷物を減らせと言ったよね。

なんだその量は?!」

 

 

「・・・ええっと・・・」

 

 

しまった。

感動の再会が・・・

 

 

抱きしめるはずが、

いきなりお説教からのスタートか?

 

 

「・・・何か言いたいことは?」

 

 

「・・・・・」

 

 

「翔くん?」

 

 

「・・・ごめんなさい。

でもこれでも頑張って減らして・・・」

 

 

「もう翔くんのバカ!

こんなに持ってたら抱きつけないじゃんか!」

 

 

「へ?」

 

 

「翔くん、会いたかったよ」

 

 

抱きしめるはずが、

抱きしめられた。

 

 

「・・・翔くん?

翔くんは・・・会いたくなかった?」

 

 

びっくりして固まった俺を、

上目遣いで見てくる智くん。

 

 

超可愛いんですけどぉ〜〜

 

 

「会いたくなかったわけないでしょ!!

もう会いたくておかしくなりそうだったよ!」

 

 

ぎゅっと智くんを抱きしめ返す。

智くんの香り。

 

 

ああ、本物の智くんだ!

・・・キスしたい。

 

 

ゆっくり離れて、

じっと智くんを見つめると、

智くんが目を閉じた。

 

 

それを合図に、

顔を近づけてく。

 

 

「・・・しょおくん」

 

 

俺を呼ぶ智くんの声。

次の瞬間、おでこに激痛が走った。

 

 

「ここどこだと思ってんの!!

公衆の面前で何しようとしてんの!バカ翔!!

もう置いてくぞ!!」

 

 

「いって〜〜〜、

待ってよ智く〜〜ん」