『・・・翔くん』

 

 

え?あれ?

なんか智くんの声が、

いつもと違う?

 

 

・・・お、怒ってる?

 

 

「ええっと・・・なんでしょうか?」

 

 

『おいらの話ちゃんと聞いてた?

あんなに何度も何度も念押ししたのに!!』

 

 

「え?」

 

 

『「え?」じゃないよ!!バカ翔くん!!

あれだけ荷物を減らせって言っておいたのに、

なんだこの量!!部屋埋まっちゃうじゃんか!!』

 

 

うわっ、久々の智くんの雷。

普段聞けない大声の智くん。

 

 

「え?えっと・・・

そんなことない・・でしょ?

だいぶ・・・減らしたよ?」

 

 

『これのどこが?

もっと送ってくるつもりだったのかよ?』

 

 

「・・・・・」

 

 

ええっと・・・

その・・・あの・・・

 

 

『翔くん聞いてる?』

 

 

「きいてます」

 

 

『おいら荷物減らせっていったよね?』

 

 

「はい!」

 

 

『減らしてこれ?マジでこれ?』

 

 

「・・・ごめんなさい」

 

 

『もう!!こんなたくさんどうすんだよ!

バカ翔が!!手荷物は?』

 

 

「え?」

 

 

『当日の荷物は?

スーツケースだけだよね?』

 

 

ええっと・・・

 

 

ホテルに持ち込んでるのは、

確かにスーツケースだけど・・・

 

 

『スーツケース・・・何個?

あとボストンもあったりする?』

 

 

見えてんのか?

 

 

スーツケース2個に、

ボストンバック1個。

 

 

『翔くん聞いてんのか!!』

 

 

「はい!聞いてます!!」

 

 

『・・・・・』

 

 

「・・・・・」

 

 

『・・・・・』

 

 

「・・・・・」

 

 

しばしの沈黙。

電話でのこういう沈黙は怖い。

 

 

相手の・・・智くんの表情が見えないから。

 

 

智くんの怒りレベル、

どれぐらい?

 

 

『はああああああ〜〜〜〜』

 

 

「っ!!」

 

 

智くんの、

長くて深いため息。

 

 

『・・・もうしょうがないな、翔くんは』

 

 

「え?」

 

 

『ここまで想定内だと、

逆に安心するよ』

 

 

あ、安心?

ってことは?

 

 

「・・・怒ってないの?」

 

 

『怒ってる。

受け取り大変だったんだからな!

見たら引くよ、マジで』

 

 

「はい!すみません!」

 

 

『でも、なんかやっと実感した。

翔くんがこっちにくるんだなってさ。

おいらが呼んだんだけどさ』

 

 

「え?」

 

 

『本当にもう少しだね。

やっと翔くんに会える・・・』

 

 

・・・え?

それって・・・

 

 

「智くん・・・も、俺に会えなくて寂しかったとか?」

 

 

『寂しいに決まってるだろ?

やっと気持ちが通じあったのに、

あの日だって、休みがもっと取れてたら翔くんと・・・』

 

 

「え?」

 

 

『翔くん、前も言ったけど覚悟しててよ』

 

 

「・・・え?」

 

 

『こっちにきたら ,

いっぱい エ ッ チ しようね♪』

 

 

っっっっっ!!!!

 

 

「今から行くからそこで待ってて!!」

 

 

『バ、バカ!!何言ってんの!

来なくていい!予定通りちゃんと来い』

 

 

・・・やっぱり

あなたは鬼だ!

 

 

その気にさせて、また放置。